中庭

君の膵臓をたべたいの中庭のレビュー・感想・評価

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
1.7
北村匠海の、他人に興味がないこととは関係なく、対象を真っ直ぐに見やってしまうあの若々しい眼差しをあえて継承せず、終盤に至るまで焦点の合わない目線を作り続けた小栗旬のふるまいが良い。映画的な幽霊として何度か登場する彼女と追いかけっこをするときに虚ろな目に力が入り、積まれた本や資料をばさばさと音を立てて開いていくことで情動が表現されるのもよかった。
屋上で、給水塔へ向かう階段をのぼりながら天真爛漫に語る彼女を北村匠海の目と同化したカメラがゆっくりと追うとき、怪しげに揺れるスカートに気を取られていると、彼女の背後から校舎の壁が消えて真っ青な空だけに変わりゆく。彼女の一部に気を取られていると、彼女の居場所を見失ってしまう。一番印象的だった演出。
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