洋画好きの私がまさか邦画に5.0を付けることになろうとは思ってもみなかった。実を言うと、実際の評価は3.5前後なのであるが、殊この作品に限っては5.0にせざるを得ない。
あまりにも自らの高校時代と似通っていたからである。
以前にもレビューに書いたが、私は某地方大学の医学生であり、小児科医を目指している。しかし、高校1年生まで私は数学者を志していた。だのに、ある同級生との出会いが私の人生を一変させたのである。彼女は薄っぺらな2つ折りの紙を取り出して私にこう告白したのだ。
「私は19歳までしか生きられない」
その紙は、所謂「難病手帳」らしい。つい先日余命を宣告されたとのことだった。
私なら、自暴自棄になっていたに違いない。けれど彼女は毎日高校に通い、勉強をし、部活をし、まるで普通の女子高生かのように生活していたのである。いや、本作のように、普通の女子高生でありたかったのかもしれない。なんにせよ、私はそんな彼女の姿に心打たれ、小児科医を志したのだ。
幸い、3年の間に特効薬が知られ、治療法が確立し、極めて強い副作用はあるもののすぐに死んでしまうことはないらしい。医学の進歩を信じ、普通の女子高生であり続けた彼女の勝利だった。
本作のように彼女は言う。
「今誰かに刺されるかも。今日の帰りに事故に合うかも。君もいつ死ぬかなんて分からないんだよ?」
それならば、毎日生を噛み締めて生きていきたい。
脇役の演技等に違和感があるなど通常ならここまで高い評価は付けないのだが、あまりにもリアル過ぎて絶句するほどのストーリーであったため、特例で評価は5.0とした。