滝和也

LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門の滝和也のレビュー・感想・評価

3.5
斬鉄剣敗れる!
五ェ門危機一髪!
ルパン三世内において
最もハードな路線を
行くシリーズの
五ェ門主役回。

ルパン三世は最初のシリーズからほぼ全てみております。(最新の青ジャケは途中までですが…。)ここ最近、ルパンは旧来のTVシリーズ、赤ジャケや宮崎駿のカリ城に近いものと原作やファーストルパンの前半部に近いものに分かれて表現されています。より親しみやすく、コミカルさが強調されるのが、イタリアン・ゲームやコナン君に出ている前者。よりハードで渋い大人な展開を見せるのが峰不二子という女や次元大介の墓標の後者。今作は正に後者の作品でハードボイルドと言うか、時代劇や任侠ものに近い(^^) 

五ェ門は博徒の一家の用心棒として草鞋を脱いでいた。伊豆沖で停泊する巨大な賭場を要する豪華客船。偶然ルパンと不二子はその売上金を狙い、潜入していた。突然エンジンルームから轟音がたなびく…。それはルパンを狙うバミューダの亡霊、ホークが奏でる破壊音だった。五ェ門は組長のため、ホークを迎え撃つのだが…。

ホークは一見カウボーイの格好をした巨漢の髭ジジイだが、強敵。異常な頑強さと研ぎ澄まされた反射神経で次元のマグナムの弾丸も得物である斧で弾くと言う完璧な殺し屋。手斧だがマサカリなみの大きさの刃を持ち、二刀流である。(さながらゲッタートマホークでありゲッター1並の使い手)。強いのはわかる。パワー系でありながら、俊敏さを持つと言う完璧な戦士なのだが…。正直言えば物足りない…。キャラデザインがやはり微妙な気がする。理不尽にも敵殺し屋が襲い来る場合、キャラは重要だ。マモーしかり、魔毛狂介など。そのプロットが似かよるなら、キャラは重要だ。今までルパンや五ェ門の好敵手にいないタイプではあるが。

内容はTV放送を想定していないのか、グロ描写はルパン史上一だろう。そもそも斬鉄剣を本気で振るえば、当然の帰結なのだが。五ェ門の敗北からの再起の物語であるが故、暴力描写もハードであり、そこからのカタルシスは必要だろう。痛めつけられ、這い上がるその姿には。またそのハードさが死闘を巧く見せてくれる。

惜しむらくは、五ェ門がかなり若く見えるのだ…。声はまだまだ先代の渋みに届いていない。故に腕も未熟に見える…。だが今作を通して、五ェ門自体が成長し、極意に達するように、声優さんも伸びてほしい…。

ちなみにとっつぁんだが本来の出来る漢のキャラであり、格好良く描かれている。ルパンも次元も今回は刺し身のツマだし、不二子も同じ。とっつぁんのほうが活躍してる気がします…

さて、残るはルパン主役のハードバージョンなのだろうか。出来れば映画の2時間もので見てみたい。
滝和也

滝和也