バスターの壊れた心の作品情報・感想・評価

「バスターの壊れた心」に投稿された感想・評価

GreenT

GreenTの感想・評価

3.0
『複製された男』と『魂の行方』、そしてラミ・マレック主演のTVシリーズ『Mr. ロボット』をごちゃまぜにしたみたい!と思ったんですが、『マトリックス』のような概念もあるし、『ドニ―・ダーコ』を引き合いに出しているレヴューもありました。

あらすじは、ラミ・マレック演じるジョナという男がいて、うらぶれた田舎のホテルで夜勤として働いています。彼は奥さんと小さな娘がいるんだけど、お金がなくて奥さんの両親の家に居候している。

これと並行して、マウンテン・マンと呼ばれるホームレスが、雪の多い山の中で、人がいない豪奢な別荘にこっそり入り込んで住んでいる様子が映し出される。このホームレスもラミ・マレックが演じていて、時々ラジオのトークショウに電話をかけてはY2Kのことを啓発するので、世間では「バスター」というあだ名をつけられている。

ある日ジョナが勤務中のホテルに謎の男が現れ、そこから話はとんでもない方向へと進んでいきます。

監督のサラ・アディナ・スミスは、「これは観た人がそれぞれに解釈する映画」と言っているので、以下は私の解釈になります。まだご覧になっていない方は、ネタを知らないで観た方が絶対面白いと思うので、ご注意!

(ここからネタバレです!)

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ジョナは、メキシコからの不法移民のお母さんの元に生まれ、高校も満足に卒業できないまま、犯罪に手を染めて暮らしてきた。ある時点でホームレスにまで落ちたようで、ホームレスに食事を配る教会で、スープを配給していたマーティという娘に誘われてセックスをし、妊娠したマーティと結婚する。

ジョナは、マーティと結婚できたことで正式なアメリカ国民になれ、未来は開けた!と思った。しかし現実は、家族を養うためにホテルの夜勤の仕事をし、昼間は幼ない娘の世話をしているために寝不足。お金がないのでマーティの両親と同居をしているが、マーティの両親は、どこの馬の骨ともわからないジョナを嫌っている。結局、現在の社会では消費されていくだけと思ったジョナは、「システム」から逃れて、小さな土地を買って自然の中で自給自足の生活がしたいと思っているが、マーティは、ジョナの話を世迷い言と思っていて、普通にアパートで暮らしたいと言うので、ケンカになってしまう。

そんな出口のない生活の中でジョナは、美しい自然の中に豪奢な別荘を持つ、豊かな人たちを嫌うようになる。金持ちたちは、別荘のある場所に行く特別なジェット機を待つ間、ジョナのホテルに仕方なく泊まることがある。なぜこんな格差があるのか?自分は嫌味な義父母とギュウギュウの暮らしをしているのに、一年の半分も使わないような別荘を持っている人々・・・。

こういう社会に対する不満の語り部として、ジョナは謎の男を心の中で作り出す。謎の男はジョナに、Y2Kが起こることや「The Inversion(反転)」の話をし、「自分はバグを直す害虫駆除をする者だ」と話すが、これはジョナが、西暦2000年に起こるY2K問題で世界中のコンピューターがクラッシュし、金持ちが富を失う時、「The Inversion(反転)」がやってくると信じたいからだと思う。

ジョナは謎の男と結託して、ホテルに泊まる金持ちから盗みを働くようになる(謎の男はジョナの妄想なので、ジョナが1人で盗みをやっているのだが)。「金持ちはたくさん持っているので、すごい高価なものがなくならなければ気にしない」と、小さい盗みばかりやっているジョナを見て、多分これまでにもこういうことをして生きてきたのだな、と思った。

しかし小心者なジョナは、「もしバレたら」と思うと気が気でなく、「謎の男をバス停まで送って行って、去らせる」というステージングをして、盗みを止めようとする。

だがそうすると、今までの生活となんら変わらない。なので、謎の男が戻ってきて自分の奥さんと子供を殺す、というステージングをする。

謎の男が「自分は『第二の反転』の預言者だ」「反転が起る時は全てが逆さまになる」と言っていたことから、ジョナの奥さんと子供が死ぬのは「第二の反転」ということになる。死んだ2人を見つける時、ジョナは写真やルームナンバーが逆さまになっているのを発見するからだ。

となると、第一の反転はなんだったのか?と考えると、ジョナがマーティと出会って、アメリカの市民権を手に入れたことだと思った。それまでは、「不法移民のホームレス」で絶望していたのが、希望に「反転した」んだと思う。

ジョナは妻子の殺人事件を担当している刑事から、「謎の男は監視カメラに映っていなかった。後で署に来てくれ」と言われ、自分が妻子を殺したことを認識する。

不法移民の子が結婚で市民権を手に入れ、生活苦でおかしくなって妻子を殺す・・・これでは定番の犯罪者として「システム」に葬られてしまう。こんなわけない (I don't believe it. It's impossible) と思ったジョナは、逃げることにするが、そこで「臆病者のジョナ」と「社会に復讐するジョナ」に別れてしまう。

謎の男に「逃げ出せたら、多分南に行くと思う。海で釣りがしたい」と言っていたことから、「臆病者のジョナ」は南に行って船乗りになり、海に流されてしまう。人生をあきらめて神様に「殺せ」と言うが、死ねない。

「復讐者のジョナ」は北へ行き、誰も住んでいないシーズンオフの金持ちの別荘に侵入して、フカフカのベッドで寝たり、勝手に冷蔵庫のものを食べたりする。しかも、きちんと料理して、ぜいたくな食事を。そして、時々ラジオのトークショウに電話して、「Y2Kが来たら、こんな富なんか意味がなくなるぞ!」とわめきたてる。

こんな生活を5年近くもしているのに捕まらないのは、金持ちはこの別荘を本当にたまにしか使わないし、ジョナがもたらす損害は痛くもかゆくもないからではないか。

この時期のジョナのことを人々は「バスター」と呼んでいる。ということは「Buster's Mal Heart」というタイトルは、この時期のジョナの「病んだ心」を指しているはず。

大晦日の朝バスターは、TVで「クリスマスに起こったいい話」みたいな番組を観ていると、サンディエゴの海岸に流れ着いたボトルの中にメッセージが入っていて、「私はジョナです。漂流して1000日になります」と書いてあり、調べてみるとジョナという人が漁船で遭難していたことがわかった、という話をやっている。番組は、ジョナのお母さんにインタビューしに行くのだが、お母さんはスペイン語で「あなたは迷っている。神様に身を任せなさい。愛してるわ」とかなんとか言う。

涙ぐんだバスターは、今までボサボサだったホームレス頭を切り、ヒゲも剃ってさっぱりする。そして、TVで公開電話相談を受けているサイキックに電話して、「僕は今どこにいる?」と尋ねるとサイキックは、「あなたは海を漂流している。もう長いこと・・・・」と言う。「なぜだ?」と聞くと、「システムにバグが・・・間違いがあったから」

バスターは、「どうすれば間違いを直せる?」と聞くと、「私たちは害虫駆除を送り込んだわ」と言って「あなたの失ったものを気の毒に思っている」と言う。

ここで幼い娘が写るので、「バグ」はやはりジョナが家族を持つことだったんじゃないかと思う。

ジョナ(バスター)は、2000年になってY2Kが起これば、時空に歪みかなんかができて、「平和な小さな島」に行けると知っていたに違いない。バスターとして、5年近くも生き延びてきたのも、2000年の1月1日を待っていたからだ。

警察はバスターに「ハッピーニューイヤー、バスター!」と言って、バスターが籠城している洞窟に入るが、バスターは消えてしまっている。

そして、バスターは、漂流しているジョナの小舟に座っている。

ここでジョナとバスターは掴み合いをしたりするのだが、最後、ジョナ(バスター)は砂浜で目を覚まし、背後に奥さんと娘らしいシルエットが見える、と言うところで映画は終わっている。

監督のサラ・アディナ・スミスはインタビューでこんなことを言っている。

「この映画は『ヨナ記』に影響を受けているけど、再現ではない。聖書のジョナも反抗心があるけど、私のジョナの方が強い。自然の法則に逆らうことを諦めず、四次元の世界に新しいケツの穴の裂け目を作る」

つまり洞窟から消えたバスターは、まっすぐ「小さな島」に行けると思っていたのだが、その前に「臆病者の自分」に対峙しなくてはいけなかったのではないだろうか。

そして『ヨナ記』にあるように海岸に吐き出された。

しかし、この最後が私には良く分からない。監督のインタビューをもう少し見てみる。

「私はどちらのジョナ(バスター)も自由だとは思わない。この映画は、自由というものは可能なのか、を問うているの。原因と結果が支配するこの宇宙でどんな自由が手に入るのか?どんな平和が?どんな恩寵が?どんな尊厳が?」

「過激な自由なら手に入る。恐ろしい自由ならね。それは呼吸するように暗に語られている。生きている必要はない。自殺もオプションとして存在する。でも最後まで頑張ると決めたなら、過ぎ行く現実の波に上手く乗ることができるかどうかよ。それができれば楽しいはずよ。空気を吸う時と吐く時の間に私たちの自由はあるのよ。毎回きちんとあるわけじゃないけど。それ以外は私たちのコントロールが及ばないことよ」

「私たちは誰か他人が作った世界にドボンと生まれてきた。無限に複雑なストーリーがすでに展開されている世界に。私たちは、どういう存在になるか、を選択することくらいしかできない。崖っぷちにいるってことを知るのは勇気がいることよ。でも全てが不確定であるってことを素晴らしいと思えたら、解放されるわ。呼吸と呼吸の間の短い休息、めったにない特別な平和、恩寵を与えられている感覚・・・。私はそれが僧侶や牧師やサーファーやヨギやスキーヤーやダンサーや恋人たちが追求しているものだと思うの」

「自由は練習しないと手に入らない・・・」

わっけわかんね〜!!

この監督は、ラミ・マレックを主役に選ぶのにタロットカードを使ったらしいので、スピリチュアルなものを信じているんでしょうなあ。

この監督のインタビューを私なりに解釈するのであれば、「逆らうのをやめて流されていれば、時々はいいこともあるよ」という、極めて消極的な答えしか読み取れないんだが。

そういう解釈で映画のラストを考えてみると、「システム」から逃れようとか、Y2Kで金持ちの富が剥ぎ取られればいいのに!みたいに僻んだりすることをやめたバスターが、「平和な小さな島」に流れ着く、というオチに見える。

この最後を「天国に行った」と解釈する人もいるし、私も最初そう思った。しかし、ジョナがやたらクリーン・カットで小ぎれいだし、南の島に家族でバケーションに来ているような、そんなイメージなこと、監督のインタビューが「逆らうのをやめて流されていれば、時々はいいこともあるよ」と言っているような印象があったことから、以下のシーンを思い出した。

ジョナがホテルで働いている時、同僚が、「このホテルは実はチャンスにあふれている。ここに泊まるのは、あのデカい別荘を持っている人たちで、大企業で働いている人たちだ。彼らと僕らの違いはMBAを持っているかだ。君はMBAを取ろうと思っている?」と聞くと、ジョナは「僕は高校卒業の検定から始めないと」と言う。するとこの同僚は、「高校出てないの?どうやってこのホテルに採用されたの?」と訊く。ジョナは、「彼らに犯罪歴を見せたんだ」という。

このシーンは不思議で、犯罪歴を見せて雇われるはずがない。

最後のシーンでジョナがやたらクリーンカットで、まるで家族でバケーションをしているように見える、そして監督が「逆らうのをやめて流されていれば、時々はいいこともあるよ」と言っているように思えるのとこのシーンを総合して見ると、海岸で目覚めたジョナは、黙ってホテルで働いていたら、ホテルの客だった大企業の偉い人に引き抜かれて、大金を稼げるようになって、バケーションに来ているんじゃないかと思った。「彼らに犯罪歴を見せたんだ」というのは、学歴はないけど、ストリートで生き残ってきたそういうところを気に入られて引き抜かれたのかなと(大企業の方がそういう斬新な採用をする)。で、海岸で走馬灯のように「もしそうなっていなかったら」という白昼夢を見ていたのでは?と。

ちなみに監督のインタビューは、Buster's Mal Heart - EXPLAINED (SPOILER) という、You Tubeの21:39の動画から引用しました。
zk

zkの感想・評価

3.2
記録
jody

jodyの感想・評価

3.1
ラミ・マレックの目力で引き込まれる
くまが酷い、、、

どんどんジョナの心が壊れていくの見ていて辛い
色々な考察が湧くけど宇宙のバグって壮大すぎる
ラミ・マレックの圧倒的な吸引力(?)に吸い寄せられて
グイグイと最後まで目が離せなかったけれど…

いくつもの解釈が頭の中を渦巻いて
果たして どこに着地すれば良いのか……🤔


⚠️以下、ネタバレ注意⚠️








愛する妻と可愛い娘の為に
ホテルで働くジョナは
夜勤続きの上に過重労働で
心身ともに 擦り切れて行く

そこへ
2000年問題で生じる宇宙のバグを駆除すると言う一人の男が現れ
宇宙は 上と下に二つのブラックホールを抱えた大きな球形で
周期的に
それが逆転すると言う

……もうすでに何が何やら😅

結局全てが
ジョナの壊れた心の産物なのか
2000年問題で生じたバグというのが ジョナ自身だったのか
船の上の男と
ホテルマンのジョナは
パラレルワールドの同一人物なのか……

誰か私に😭
私でも分かるように説明してください〜😭💦

っていう
お手上げ映画だったけれど
それでも
ラミ・マレックの吸い込まれるような眼力と 存在感と
圧倒的な演技に
どっぷり浸ってしまいました✋️


*5/13 Netflix
モジャモジャのラミ・マレックとすっきりシャープなラミ・マレックが同時に見られる。上半身は裸じゃないし付け歯でもないがラミマ好きにはタマランものがあるのでは。ただしストーリーは難解。というより殆ど謎だけ残してあとは自由に解釈するようなタイプなので『ボヘミアンラプソディ』でラミマを知り、同じテンションで観たならば確実にしっぺ返しを喰らうはず。

ただでさえ1人2役という設定に加えて時系列が3つくらいコロコロと切り替わるので、初見ではだいぶ置いていかれる。設定が飲み込みづらい上に謎は丸投げ。なので適当に解釈してボンヤリ楽しむ。

以下は自分の解釈。ネタバレ以前にネタを理解してない可能性大。
要はパラレルワールドで存在していたジョナとバスター(同一人物)が2000年問題のバグで邂逅してしまい、互いに自分殺しをする。という話。
ホテルに家族と暮らし始める展開とシンメトリーを強調した構図で、シャイニングオマージュを感じつつ、ジキルとハイドの二重人格がフェードインしつつ、虚構と現実、宇宙と宗教の成分が加えられて、なんだか色々と中途半端な印象。
ラミの演技と意味深オシャレ演出
chisa

chisaの感想・評価

2.8
ラミ・マレック主演作品なので見てみたが、ここまで心が壊れる背景がわたしには掴めなかった。
髪の毛髭ボーボーで痩せて痛々しいかったがやり切った感は感じた
yt

ytの感想・評価

3.6
カエル食べ食べ
ちぃ

ちぃの感想・評価

3.4
ボヘミアンラプソディーで知ったラミの作品だったんですね〜
Netflixのジャケット写真ではロン毛に髭で全然気付かず、髭なくなってやっと気づいたよ笑

内容はというと、ホテルの夜勤で体ボロボロだけど妻子のために頑張るパパが、あるきっかけでホームレスのお尋ね者になっちゃってて、そこに至るまでに何があったのか…

なんかやりきれないお話でした。
時系列とかバラバラで、説明もないのでめちゃくちゃ分かりにくい。
けど雰囲気が独特だし、ラミの演技にも惹きつけられて最後まで観れた。
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