湯っ子

満月の夜の湯っ子のレビュー・感想・評価

満月の夜(1984年製作の映画)
3.8
「二人の妻を持つ者は心をなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす」。

言ってることとやってることが違うクイーン・ルイーズちゃん。美人でスリムでしなやかで、声がかわいくてヘンな髪型(当時の流行り?)。彼女みたいな子、むかし友達にいたような。何かを欲しがる前に与えられて、与えられたものだけでなんとなく過ごしてきたら、自分が何を欲しがっているのかわからないまま、体だけ大人になっていたみたいな子。満月の夜、そんなことに気づいたのかと思いきや、たぶん彼女は月の満ち欠けのように同じことを繰り返す。満ち欠けを何周したら、自分の本当の気持ちをみつけられるんだろうね。

ロメール映画に出てくる女の子たちがみんなかわいいのに、男性たちはどうしてこうも魅力がないのか。ルイーズはハナから男として見てなかったけど、満月の夜のカフェでルイーズと隣り合わせたおじさんは、もっさりしてるけどいい男。ルイーズが本当のことを話した唯一の男みたい。

本作は「緑の光線」と一緒に評されることが多い。自分を見つめて、少し成長したデルフィーヌには、ロメール先生はちゃんとご褒美をくれる。でも、自分と向き合わずに他人に依存してるままのルイーズに、ロメール先生はキビシイのだ。

本作の撮影の後、主演のパスカル・オジェは24歳の若さで急逝したとか。本作では、どうしてもあの髪型が気になって仕方なかったので、違う髪型の彼女を見てみたかったな。そして、誰かに似てると思ったら、むかし出てたタレントのマリアンだった。最近懐かしネタばっかり言ってごめんなさい。
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