たむ

満月の夜のたむのレビュー・感想・評価

満月の夜(1984年製作の映画)
3.5
エリック・ロメール監督の喜劇と格言シリーズ第四作で冬のパリを舞台にした作品です。
テーマは「二人の妻を持つ者は心をなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす」
ちょっと何言ってるか分からないテーマですが、喜劇と格言シリーズの中でもダークで難しい作品です。
ロメール監督の作品を特徴づけているロケ地の美しさといったものが抑制され、ほぼ室内劇、あるいは夜に展開します。
語られる会話も自分に自信があるのか、なかなかドギツイ内容を初対面の人にも語り聞かせています。
キャラクターがあまりにも住む世界が違う印象です。
他のロメール監督作品だと住む世界が違っても笑ってすませてしまいますが、本作は感性が違いすぎて、ポカンとしてしまいます。

恋愛や運命の相手、好きになるか好きになられるか。
自分の恋愛が世界の中心で回っている事を本気で信じている人々の物語という印象です。
フランスやヨーロッパの感覚では当たり前なのかもしれないので、映画で異文化に触れるとはまさに本作のような映画を観る事です。
それを飲み込むまで本編のほぼ全てを使ってしまいましたね。
たむ

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