たか

武士の家計簿のたかのレビュー・感想・評価

武士の家計簿(2010年製作の映画)
4.0
 12/5(日)13:00、劇場は満員でした。どうしても猪山直之が『山南敬助』に見えてしまう人は少なくないでしょう!驚きこそ少ない作品でしたが、趣があり、明治維新絡みの時代の変化もあったりで、テーマ的には興味が持てました。
 ≪猪山信之(中村雅俊)→直之(堺雅人)→成之(伊藤祐輝)→綱太郎≫
 武士の世界では軽視されている算用者、でもそのお役目に誇りを持っている猪山家、いや、成之などを観ていると、最初っからそうであったとは限りませんけどね。
 どの時代にも不正はあり、それを下っ端が気付いたとしても、なかなか告発は難しいのですね。現代でも告発制度はあっても、まだまだ内部告発は難しいですからね。
 それも含め、真っ直ぐに生きている猪山家は、観ていて清々しいです。
 加賀藩と言えば、『前田利家』くらいしか知らないのですが、猪山家は下級武士ながら堂々と歴史に残っている家柄なんですね。そして幕末の最中、加賀藩もどちらに付くかで藩論が揺れて、御三家に準ずる待遇であった(外様)大名でありながら、新政府側に付いてしまいました。
 猪山成之は大村益次郎に抜擢されて、戊辰戦争の兵站を差配していたそうです!旧幕府軍が負けたのは、裏に猪山成之がいたからかもしれません...。その後、海軍主計少監となったそうですが、もし大村が殺されなかったら、成之はもっと有名な人物になっていたに違いありません。
 しかも成之は、自分を推薦してくれた大村の恩顧に報いようと、自身が発起人となって、靖国神社の大村益次郎像を完成させたとの事です。いやー身近な所まで歴史が繋がってきました。
 ちなみに成之の長男『猪山綱太郎』は、海軍兵学校で『秋山真之』と同期(第17期)で、海軍大佐にまでなったそうです。こういう繋がりは面白いです。それにしても、そろばん侍の猪山家は、綱太郎の代で、結局は軍人に戻った事になるのでしょうかね?
 歴史を可能な限り絡めると、一層面白く観る事ができると思います。
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