ハレルヤ

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
1960年の台湾が舞台。夜間中学校に通う1人の中学生が、不良グループと関わるようになり、そこから敵対グループとの対立に巻き込まれていく。そして恋心を持つ1人の同級生の女子との関係も含めて状況は悪化の一途を辿っていく青春ドラマ。

ずっと気になってた作品でしたが、やはり4時間という長さが引っ掛かってなかなか手が伸びませんでした。この連休でゆっくり出来る時間が取れたので、一気に4時間ぶっ通しで初鑑賞。

まず見終わった後の一言は、やっぱり「長い」。本作のマイナス面になりますが、4時間という長さに加えて登場人物の名前が似ていてややこしく、人数もそれなりにいるので相関図が欲しいくらいでした。

BGMらしいものもほとんど無く、娯楽作品ならではの演出もほぼ皆無。前半はちょっと乗り切れない部分もあり、これで4時間も見切れるかという不安もありました。

物語が大きく動き出したのは半分過ぎてから。不良グループ同士の抗争が激しさを増していき、復讐に次ぐ復讐で負の連鎖に歯止めが掛からない状況。それに応じて主人公の小四も立場が大きく変わっていきます。

借金だらけの兄にスパイ容疑を掛けられた父親。小四に限らず芳しくない家庭環境が子供にも暗い影を落としていくのがよく分かります。

青春特有のドラマもあり、淡い恋愛模様。それを軸にしながら当時の台湾を巡る社会情勢もしっかりと描写。長尺を使ってじっくりと表していますが、それでも4時間はやっぱり長すぎたかな。

当時実際に起きた男子中学生の同級生女子殺害事件に、監督のエドワード・ヤンが実際に体験した事を加えた内容。ラストもカタルシスも何もなく、あっさりとした終わり方。しかしその分他の映画には無い特別な味わいがある力作というのは感じ取れました。
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