KOKO

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のKOKOのレビュー・感想・評価

5.0
「凄い映画」ってこういうことか、と思った。

しっかり時を刻んでいる。
しっかり人が生きている。


逆に言うと、4時間かけないと見せられないものなのかもしれない。

時代も国も、生活レベルも違うけど、
そこには普遍的なものが流れている。



小四はもちろんだけど、意外と出番の少なかったハニーに私の心はとらわれてしまった。あの存在感。あの眼差し。
潜伏先で、ふいにこぼれた夢の欠片。
胸がぎゅっとなった。

小明の小悪魔加減には恐怖さえ感じた。
大の大人をも翻弄する、芝居じゃ辿り着けない領域だった。「私といると面倒に巻き込まれる」って。自分でもよく分かってたんだね。


あんなに沢山登場人物がいて、上手な役者だけを集めたわけでもないはずなのに、「物語」にならず、ちゃんとそれぞれの人生が衝突している。



今までオールタイムベストなんて選べる気がしなかったけど、確かな候補をひとつ見つけてしまった。
幸せな映画体験だった。
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