ぐっさん

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のぐっさんのレビュー・感想・評価

4.0
今、このタイミングで映画館で観ることが出来て良かった。
4時間はとても長いし、登場人物は多いし、アダ名と本名は行き交うし、で、ただでさえ物覚えが悪いのに予習せずに行った自分はこんがらがる瞬間もあったけど…(小公園ってかき氷屋?ん、グループ名?217ってアダ名?グループ名?リーダーの名前?等…)、そんなことはどうでも良い。
夜の暗さ、闇を照らす懐中電灯、光と闇の微細な表現に入り込む為には絶対に映画館で観なければならない作品であることは間違いない。
先行きの見えない闇と、儚い光と、一瞬の煌めきと、絶望と、全てが地続きで、4時間という時間を通して、小四の時間を通して、最終的に自分は何を観ていたんだろう…という気にさせられてしまった。
光と闇のコントラストを意識させられた前半から鮮烈な白と赤が飛び込む終盤まで、没入していたようで、突き放されていたような。ふと気づけば劇場の梁の上から撮影風景を眺めていた小四と小猫王と自分が重なって感じていた。

少年から大人へ、なりたくてもなれなかったり、意図せず大人にならなければならなかったり、映画が終わってからもグルグルグルグル10代の自分を振り返ってた。
全然理解出来た気がしないけど、いくつものシーンが焼き付いていて、心に奥深く居座り続けるような作品だった。

パンフレットで富田克也監督が書いてたけど、エドワードヤンの死後権利関係が色々と複雑になってしまい、キナ臭い話も聞こえてくる中、ストリートの大先輩スコセッシがストリートの流儀で全てをクリアにして、公開にこぎ着けたという話がカッコ良すぎ!
ぐっさん

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