ヒロシー

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のヒロシーのレビュー・感想・評価

5.0
大傑作。四時間があっという間に過ぎた…なんて事はまるでない。鑑賞者は小四が持つ懐中電灯に照らされたわずかな場所を少しずつ目で追わされる。じんわりじんわり映画を見せられる。

しかし退屈さをまるで感じさせない、美しすぎるショットの連続。小津映画からの影響もひしひしと感じる構図。時に写すべき画を写さずに想像力を喚起させる。四時間眠くなる事はあっても眠る事は許されない。圧倒されっ放しとはこの事か。

最後、小四はここまで我々を導いてくれた懐中電灯を捨ててしまい、闇の世界へと身を投げ出す。そして「この世界は僕が照らしてみせる」と呟く。小四の選択は愚かで欠片もフォロー出来ないが、我々をこの四時間引っ張ってくれた彼には感謝してもしきれない。
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