ベビーパウダー山崎

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

4.0
久しぶりに見直したが、あまりにも達観した、人間は不条理なほど醜く、その歪な世界を浄化するのは「死」しかないと本気で信じているエドワード・ヤンの極まった思想に怖くなった。空虚やpessimismでは語りきれない、その先にあるのは生きものは生まれたこと自体が間違いであり、導かれた(選ばれた)死者だけが真に救われるという狂気。遺作のような『海辺の一日』からはじまったエドワード・ヤン、こういった絶望と向き合いすぎた映画(表現)ばかり撮っていると早死にする。