長らく待望していたがやっと観られた。
人物相関図や主要な固有名詞が頭に入って顔と名前が一致してくるまで若干時間がかかったけれど、だんだん入り込んで来ると、あとはただ浸っていた。しかし如何せん長いので3日に分けてやっと観終わった。
4時間近いだけあって要素が多い。
白色テロ後の恐怖政治下の抑圧的状況と、儒教的絶対権力を振りかざす理不尽な教師と、生きづらさしかない夜間学校の少年たちの世界。その一枚裏の不良とヤクザの世界。
ノワールの伝統を意識したかのようなファムファタールポジションの小明。彼女もまたどうにもならない暮らしの現実に苦しむ一人であり、寂しげな、一種の諦観が漂う佇まい。
外省人である主人公の父の受ける迫害。正義感が強かったが、様々な理不尽の前に消尽した父が子に伝えた「自分の未来を信じろ」という教え。
ちょっと触れると破裂しそうな、不安定で張り詰めて暴走気味の主人公の純粋すぎる思い。
登場シーンは少なかったが鮮烈な印象を残したハニー。
プレスリーに憧れる、最初から最後まで主人公に付き合ってくれた親友。
ちょっと切り口が多すぎて書ききれない。消化もしきれてない。
とりあえず空気感と陰翳が最高に凄くて、特に夜の表現がほんと好き。ビリヤード場の暗闇の襲撃シーンは圧巻だった。
あと、昼のシーンで、木のドアのワックスの光沢に映り込む滲んだシルエットで小明と小四の対話を見せるというカットがすごく印象に残っている。