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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のhuのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

当時の台湾の社会構造と夜間学校に通う少年たちの抑圧を区別しつつも相似関係で描いた名作。一見フロイト的なテーマにも見えるが、少年たちの明暗を光と影で描ききった点も素晴らしい。人間関係も然る事乍ら、点灯を繰り返す家の明かりや、度々停電する217のアジト、盗んだ懐中電灯の灯りが牯嶺街に漂う猜疑心や閉塞感を優れた視点で演出する。手持ちの電灯では身の回りの小さな世界すら照らせないと悟り、バットで電球を破壊してまわり、電灯も捨ててしまう。そして自ら光源になろうとする(そう思うしかなかったのも悲しい)が、その光は受け入れられない…。最後まで圧巻の美しい物語だった。
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