カツマ

アウトサイダーのカツマのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(2018年製作の映画)
3.6
海外作品が日本を描いた場合、そこには架空の島国ジパングが描かれていることが多い。だが、この映画は少なくともその基準はクリアした比較的硬派な極道映画だ。そう、恐らく日本の極道映画の中に海外のスターが混じっている、と言った方が違和感がない。それほどしっかりと日本を研究できている作品でありながら、外国人から見たエキゾチックな魅力(ハラキリ、相撲、といった要素)はかなり大胆に挿入されている。よそ者であったはずの男が次第に極道に染まっていく役柄をジャレッド・レトが好演。彼が浅野忠信と兄弟の契りを交わすという設定には意外にもグッときた(笑)

1954年、戦後の大阪。
元軍人のニックはかつて軍法違反を犯した罪で日本の刑務所へと収監されていた。彼はそこでキヨシという名の日本人を助け、彼の釈放の手助けをする。キヨシは大阪のヤクザ者で、釈放後のニックを自らの組(白松組)に迎え入れた。
白松組は神戸の勢津組と抗争寸前の緊張状態。ニックを快く思わない白松組の幹部オロチは組長への忠誠の裏で暗躍し、大阪と神戸の勢力図に地鳴りを起こそうとしていた。

こう書いてみるとどう見ても極道映画でしかない。が、この映画にはキヨシの妹ミユとニックとの道ならぬ恋がもう一つの軸として存在する。ミユ役を演じたのは忽那汐里。彼女はジャレッドの恋人という役柄を見事に演じきり、この恋物語に箔をつけていた。
監督は『ヒトラーの忘れもの』を撮ったマーチン・サントフリートという意外な選出。外国人監督が撮った極道映画という謎のジャンルを堪能できます(笑)
外国人には分かりづらいであろうOTOSHIMAEの心を、アウトサイダーに宿らせたという意味で、極道の精神性の追求に成功できた作品でした。
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