YukiSano

アウトサイダーのYukiSanoのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(2018年製作の映画)
2.4
素晴らしい美術や衣装と時代考証で見せられる戦後日本。まるで深作監督が復活したかのような迫力の演技を披露する日本俳優陣。

これは凄い時代の日本映画の復活か‼と思わせておいて、凄まじいコケっぷり。脚本がアウトラインだけ描いた第一稿みたいな内容だった。ここから肉付けするところを、時間ないからそのまま撮影しました、みたいな内容。名優ジャレッドも全くやる気ない演技を見せている。

外国人の好きな日本文化が出てくるところはご愛敬で、とにかくリドリースコットみたいなネオンを出す若干の嘘も心地よい素敵な映像を堪能できる。日本人俳優は皆、頑張っていて世界に通用する演技を見せてくれた。本当に誇らしいくらいに頑張ってくれているのだが、主人公の白人の視点が全く活かされていないので中身がスカスカすぎる。

二時間あっても主人公の心情が描かれていないと、映像が素晴らしくてもここまで中身がなくなるという見本。あいつは一体何者だったのか最後まで分からなかった。ライアン・ゴズリングのドライヴは背景が描かれなくても心情は描かれていたので共感できたが、こちらは全然駄目。比較すると面白かった。

一番内面が描かれていたのは椎名桔平かもしれない。彼の葛藤や混乱はまだ理解できた。彼しか心情が伝わらないというのは非常に皮肉で面白い結果である。

結局、田中泯と安田大サーカスHIROの二重後頭部が素晴らしい存在感という以外、印象に残らない作品だった。

それでもNetflixの企画力や、やろうとしていることは可能性を感じる。懲りずにまたこういうの作って欲しいです。
YukiSano

YukiSano