このレビューはネタバレを含みます
正直、見てからずっとこの映画のことをあーでもないこーでもないと色々考えていて。
結局あまりまとまらないんですけど…
「いいところですよ。人もいいし、魚も美味い」と繰り返すものの、月末(錦戸亮)自身は一度も劇中で魚を食べていなかったりするあたり、漁業を売りにしつつも町自体はやっぱり廃れつつあるのかな、と冒頭まず感じました。
その中でちゃんと魚を食べていたのが宮腰(松田龍平)ってのがまた憎いというか、彼は彼なりにちゃんと町に馴染もうとしていたのかなと今思い返すと結構グッときます。
宮腰がわざわざ元殺人犯であると告げたり、海で思わせぶりな態度を取るところなんかは、月末の反応を試すためなんだろうけど、たぶん僕が同じ立場だとしたら、そういう事実を知ったりそういう雰囲気を出した瞬間に身構えちゃうと思う。
ワンボックスの中で文(木村文乃)がしたような反応をしちゃうと思う。
たぶん、宮腰は何度もそういう反応を見てきたんだろうなと思う。
中盤で月末が太田さん(優香)にいうセリフで印象的だったのが、
「愛してるから首を絞めるなんて、普通の人は思いませんよ」(ちょっと不正確かも)
ってところ。「普通」ってなんだろうって考えちゃって。
たぶんその「普通」「そんなことしないだろう」「だから嘘をついている」って考えで、太田さんの証言は信じてもらえずに刑務所へ入ることになったんだろうし。
(立証する方法がないのもあるんだろうけども。)
結局、経緯どうこうよりも、「人を殺した」という「事実」の方がどうしたって強くなってしまう。歯がゆいもので。
この作品を見て思ったのは、月末や後輩の田代(細田善彦)、もしくは町の人たちなんかの目線が、観客の目線=「普通」の目線でもあるんやろうけど、元犯罪者の6人も、それほどかけ離れた存在ではないんだなってのは強く感じました。
どうしたって宮腰や杉山(北村一輝)が目立つけど、要は「普通」に生きていたはずの人たちが、いろんな境遇の巡り合わせによっては殺人犯になってしまう、「普通」じゃなくなってしまう。
それって自分の身の回りで起こらないかと言ったらそうとは言えないよなぁ…
そんなことをあれこれ考えていたら、いつのまにか3日経っていました(苦笑)
まとまりないレビューですみませんが、たぶんこれだけ考えさせられたってことは、僕はこの映画がすごく好きなんだと思います。
賛否は分かれるやろなぁとは思ったけど、断然支持派!もう一回見たいよ!
あと水澤紳吾!トム!!最高だったよ!!