キナ

羊の木のキナのネタバレレビュー・内容・結末

羊の木(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

少しピリッとした空気漂うヒューマンドラマ風に話が進み、後半で急に緊張感あるスリラーに豹変してゾクゾクさせられた。

月末の普通〜な感じが主人公としてとても良かった。
明らかにちょっと様子のおかしい宮越となぜ友達でいられるのか、最後だって逃げもせず友達としての言葉をなぜかけられるのか…と思うけど、真面目で奥手で優しくて人を信じやすい性格なんだろうなとなんとなく納得できちゃう雰囲気があった。
逆に文が月末にあそこまでツンツンしておいて宮越と付き合えるのかは最後までよく分からなかったけど。
彼女だけ映画の中で少し浮いてる感じがしたのが残念だった。

「のろろ」が全体的に奇妙な雰囲気を添えていたのが効果的だなと思った。
錆びていた像がまさか最後こう使われてくるとは。
さすがに不自然極まりないんだけど、最後の判決を下すダークヒーローのようで結構好き。

劇中では元受刑者たちの数人が最後良い顔を見せてくれたことにホッとした。
不穏だけどちょっとゆるめの、独特の空気が常に流れていて、この感じを好きかどうかで分かれそう。
私は好き。面白かった。

前科持ちの友人や知り合いは今のところいないけど、もしそういう人が現れたら、またそういう告白を受けたら、私はその人に対してどういう反応と付き合い方をするのだろうと考えてしまう。
今作のクリーニング屋の姐さんや床屋のように本質を見て受け入れられたら良いけど、一度ラインを越えたことのある人間が再び越えるのは抵抗薄くできちゃうんじゃないかとどこか思ってしまうのは否定できないな…
キナ

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