ぴろぴろ

羊の木のぴろぴろのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
3.6
冒頭から漂う不穏な空気と不安を煽る音楽。 得体の知れない、何か怖い事が起こりそうな悪い予感と期待。
サスペンス要素が強いながらも、ちょいちょいクスッと笑える。
演技達者で濃い面々の出演者に引き込まれた。 ラストに向かって突っ込みどころ満載で なんだか安っぽ〜いとも思ったけれど面白く鑑賞した。
そして、のろろ様。 日本昔ばなしに有りそう。
「見るな」と言われたら見たくなる。 見ちゃいけないはずの「のろろ様」が、あんなにデーんと どこからでも見える大仏の様に鎮座している矛盾に、この町にやって来た6人が上手く被る。 息を潜めて素性を隠し紛れ込んだつもりでも、見ない様にしていても情報は目 以外からも入って来るし、人の口に戸は立てられない。 それに人は案外上手に、しっかり見ているものだ。 だって実際怪しいし。
常に人の視線が自分に刺さるのを感じながら生きて行く事が、罪を犯した者の贖罪なのかもしれない。
床屋さんと、クリーニング屋さんは きっとこの地でやり直せるんじゃないだろうか。 たった1人の他人に信じてもらえただけで、その後の人生がきっと違って来る。 この6人だって殺人は犯さなかったかもしれない。 後日談も知りたい様な、もう充分な様な。
でも身近に元囚人がいたら、しかも殺人犯だったと知ってしまったら…
見てない様に見せながらも、やっぱがっつりしっかり見るよね。
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