サムカワ

羊の木のサムカワのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
4.6
「人が肌で感じたことはだいたい正しい」


いい映画観たわ〜という満足感に浸っております。

錦戸くんの演技を観るのは実は初めてかも?
とってもカッコよくて、なんだかずっと観ていたくなる話し方や所作ですねぇ〜。
あと楽器持った時の様になってる感も最高!


【FOOD描写】
本作のオープニングではそれぞれの仮釈放者らとの食事シーンが描かれますが、その席の向き合い方や、どっちがどう対応しているか、それらが後々の関係に大きく関わっているあたり、秀逸ですね。

そして幕引きも………。



【田舎の病理】
昨年末の大傑作『ビジランテ』(入江悠監督)と似ているともとれるし、まったく違うともとれる"田舎"の闇的な側面が描かれてるのがいいですね。

本作の魚深市とビジランテの渡市。日本の闇の塊ですよ!!怖い!

本作の田舎怖い的な部分は、別にコミュニティ云々よりも(それもあるけど)僕も田舎に住んでることもあって、"夜の暗さ"のリアルさかなと。

しかもそれがサスペンス演出に効いてるあたりが最高でした。

夜道を車線無視して走る車ってだけであんなに怖いとは……。


【突如動き出す物語】
ずっとジリジリと何かが起こりそうで起こらない。
起こってもまぁ大事には至らない。
むしろいい話、ホッコリする話だって展開される。

それでも、決定的にもう後には戻れないある場面から、劇判もグギョガググクググ〜〜と物々しいものに変化する。

あの瞬間の、不謹慎だけど、高揚感たるや。

そんな、なんてことないように見えていた日常が、あるポイントで歪み始める瞬間って映画のとくに面白い場面ですよね。



カットの繋ぎの面白さや、決して単色ではなく、多様な人々の営みを描き、クライマックスは"友情"と謎の開放感にグッとくる。

この言い方が正しいかわかりませんが、めちゃくちゃ楽しかったです!!!
サムカワ

サムカワ