たいてぃー

羊の木のたいてぃーのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
3.6
原作は未読で鑑賞。殺人犯の再生、過疎化への対応って、着想は面白い。そしてこの殺人犯を演じる役者が、個性的。松田龍平演じる殺人犯の一人、宮腰の「それ、友達として聞いてる?」って、セリフが印象に残る。
ギャグ漫画が得意な二人の漫画家がタッグを組んだ原作を吉田監督がいかに料理したのかが気になって、原作を読んだ。よくやる映画鑑賞後の原作読みに走ってしまった。
(以下はネタバレ含みです。)
漫画「羊の木」は、2011年~2014年に描かれており、単行本で5冊。映画のようなサスペンス感はさほどなく、ギャグっぽさが目立つ。そして殺人犯は11人、主役の月末は、市職員じゃなく仏壇屋で中年男。市長の娘が出て来て重要な役回りだが、映画では木村文乃演じる、月末の幼なじみで代用してるって感じ。
11人を6人に絞って、群像劇としてるのはいいけど、結局はサイコパスの松田龍平が演じる宮腰が中心となる。漫画では、それなりの回収はあるが、映画では色々と謎な面も多い。「のろろ」はこの作品の肝でもあるが、この祭りをどうとらえているのか?どうも浮いている。殺人犯同士が出会う場所に過ぎないのでは?「のろろ」は、ラストで海から引き上げられる。この手の犯罪は絶えることはないってことか。
役者では優香の妖艶さが目立つ。吉田監督さすがの演出。他では、安藤玉恵と田中泯のコンビがいい。過去を背負う、男の哀愁とそれを受け止める女って、ベタな表現だけど、やっぱりいい。そして、主演の錦戸亮。原作とは違った月末のキャラ。殺人犯への偽善的な態度、好きな女性への奥手な態度、宮腰への友情を熱く語るところ。まあ、平凡な演技と言えばそれまでだけど、次を期待したくなる演技。