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羊の木のzonomanのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
3.6
終始穏やかで暗い(不気味な)展開ではあるが、深く考えさせられる作品。

過疎地域×元受刑者の受入という絶妙な設定が織り成すストーリーは、それぞれの"居場所"がひとつのキーワードであり、6人の元受刑者のエンドをそれぞれ掘っていくとなかなか面白かった。

①この街でやり直そうと思う者(理髪店・福元)がいれば、退屈で仕方ないと思う者(釣り船屋・杉山)もいる。
②過去を悔いて改めようとする者(クリーニング店・大野)もいれば、結局自分は変われないと考える者(宅配業者・宮腰)もいる。
③新しく大切な存在を手に入れた者(介護センター・太田)もいれば、何も手にしたくないと考える者(清掃員・栗本)もいる。

印象的なセリフとして「人は居場所さえ見つかれば、生きていける」と言っていたが、6人のエンドは正にその通りであったと思う。

展開としても、序盤20分での6人の登場シーンからバックボーンの説明、30分頃からの街での暮らしを始める6人に加わる幼馴染・文(=木村文乃)の存在。とテンポも良く不思議と作品の世界観に入り込めました。

あ、主役の錦戸亮さんは、主役なのに主役オーラを感じさせない、完璧な公務員役だったと思います。
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