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フェンスのtorakoaのレビュー・感想・評価

フェンス(2016年製作の映画)
1.0
もとは古い舞台劇、会話劇なんだろうけど、一方的な台詞ばかりで台詞の応酬の面白さみたいなのはない。会話劇としても話としてもネタ的にも全く面白くないのだが、何故映画化しようと思ったのか不思議でならない。イライラ、ムカムカするだけの話。ジャケット詐欺。

息子から見たら毒親でしかない気がするので、そういうのがダメな方、親子関係などでトラウマがある方はやめといたほうがいいと思う。傷口をほじくられて塩塗りたくられる気分になるかもしれない。

主人公(多分)がとにかくよく喋る。面白くもないことをさも面白いネタとして得意気にダラダラくどくど喋りまくる、アメリカ作品でよく見かける感じのあれ。モブキャラの場合、主人公に煩がられあしらわれて逆ギレしたりするようなタイプの。
口が達者というよりは人に口を挟む隙を与えず自分の好きなように喋り続けるだけ。持論?の矛盾や綻びがある。戦時に脳を損傷しファンタジックな話ばかりしている弟もこの点は似ている。この兄弟、人の話聞く気がない。自分が喋る気持ち良さにしか興味なさそう。

人のことは些細なことにも文句を垂れ、息子を責め立て、自分のことなら些細でないことすら悪びれもせず開き直る独善的勘違いクソ野郎主人公。
ゴミを回収する仕事をしていて、黒人は収集車を運転するほうの業務に就けないのは差別だ俺をドライバーにしろと訴えて採用されるが無免許だったってあたりで物凄い憤りを感じた。アメリカンはこういうの笑い話として通用するっぽいし、車通り少ない公道で全く予備知識ない人に無免許運転させて運転教える場面よく見かけたりもするので、免許取得の流れやそもそもの感覚も時代も異なるんだろうからしょうがないのかなーと思いはすれど、黒人の印象がマイナス方向になってしまう話だなと思った。車や重機等の運転に関して軽薄な感覚でいる人が嫌いなので。

かつて支配的なクソ親父に憤り反発したはずの少年が、そのクソ親父と大差なさそうな支配的クソ親父として君臨し、妻子を傷つけ悪びれもせず反省も成長もしない話。
フェンスを象徴的、暗喩的に使おうとしているのはわかるんだが、成功していないと思う。だから何だよ?って感じ。

奨学生として大学入れるなら大学までの約束でアメフトやらせてあげてもいいだろうに、どんなに上手くてもどうせ黒人は選ばれないとかいうアップデートされないまままの“常識”や慣例に囚われ、息子相手にマウンティングして社会への苛立ちや不満を発散し、時代の流れや大局なんてのは見ない。小せえ野郎だなと思ってたら終盤に「偉大」とか言われてて、何言ってんだこの人達?全っ然わからんわ!ってなった。日本語だと誇大表現めいてしまうだけでもっとあっさりした意味合いなんだろうか。

本当に何でこんなもん映画にしようと思ったのかさっぱりわからない。男はこうあるべき、父親はこうあるべきといった呪縛から逃れられない話、とするにはこうあるべき男から逸脱してるしなー。
デンゼル・ワシントンをもってしても好感を持ち得ないクソ野郎主人公。
服を着せ飯を食わせ家に住まわせ学校に行かせてやってるのはお前が好きだからじゃない、俺の息子だからだ、義務だからだ、みたいな発言には殺意を覚えた。

だいぶ前にTSUTAYAの多分作品限定ポイントで視聴権(?)貰ってたやつで、1月で配信終了になるらしかったので観てみたが、映画や物語に対して私が求めるものが何もない作品だった。出演者によっぽど興味がある人以外は観なくていいと思う。コンディションいい時でないと多分寝落ちする。二度ほど寝落ちした。
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