フェンスの作品情報・感想・評価

「フェンス」に投稿された感想・評価

ラウぺ

ラウぺの感想・評価

4.0
デンゼル・ワシントン監督・主演の2017年アカデミー賞作品賞ほかノミネート作品。
残念なことに日本では劇場公開の予定なし。
ソフト化を機にレンタルで視聴。

1950年代のピッツバーグで清掃作業員として働く主人公は元野球選手で、差別のために大リーガーになるのを阻まれたと考えており、息子の一人がフットボールの選手への道を望んでも、頑なにそれを阻もうとする。差別とは毅然と闘いつつ、彼にとっては家庭内での父親としての威厳を保つことこそが何より重要な、古いタイプの厳格な家父長主義者として描かれています。
日本のような封建社会の長かった国とは違うアメリカで、このような典型的な家父長主義者が居ること自体が少々驚きではありますが(パターナリズム:paternalismなる英語もある)、この頑なさは、程度の差こそあれ私の祖父や父にも面影をみることができ、世代を問わず、世の父親には多少なりともこのようなところはあるのではないかと思います。
彼は何度も自分や息子のおかれた状況をバッターボックスのバッターに例えることで分かりやすく語ろうとしますが、劣化した星一徹といったところか。
これはとんでもないクソ親父に見えますが、不器用ながら彼には彼の人生哲学があり、不幸な生い立ちや境遇から必死に生きてきた結果が彼をそうさせたのであり、(相手の意思とは無関係に)息子には同じ轍を踏ませないという強固な意思の表れであるともいえます。
彼は庭にフェンスを作ることにこだわり、そのフェンス自体が彼を囲う状況のひとつのメタファーとなっているのです。
子供たちは家庭内での父親のあまりにも絶大な支配力におののき、奥さんもまた、この手に負えない親父の存在の大きさにいつしか自分の希望や楽しみを忘れて生活していくさまを描き、家族の本質的問題を浮き彫りにしていきます。

原作は同名の戯曲で、リバイバル公演で主役のデンゼル・ワシントンはじめ同じキャストで演じられているということもあるのか、それぞれの役者の演技は大変素晴らしく、戯曲らしく物語を大きく広げない中で、見終わった後も凝縮感の高い、しみじみとした余韻に浸ることができます。
圧倒的な存在感で父親の存在の大きさを見せつけているデンゼル・ワシントンの演技もさることながら、じっと耐える奥さん役のヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞を得ているのも納得の素晴らしさだと思います。
このクソ親父よりも奥さんに感情移入する人は多いかもしれません。

文句なしの名作と断言できる作品ですが、鉄板のアカデミー作品賞ほか4部門ノミネート、デンゼル・ワシントン主演・監督、重厚で文学的ストーリー、1950年代のリアルなアメリカの雰囲気など、どこから見ても興業的に失敗するように思えないこの作品が劇場公開されない、というのは配給元の努力(=営業力)不足?、それともなにか日本の映画興行そのものに構造的問題があるのではないか?と思えてなりません。
最近は洋画よりも邦画の方が人の入りが良いとか、劇場が大作に偏向しすぎているとか、根本的に映画館に足を運ぶ人が少ない・・・などなど
何が問題なのかはっきりしたことは私には分かりませんが、劇場公開されないことで、ネットやメディアでの露出も減り、結果的に良い作品が人目に触れないまま埋もれてしまうことや、本来観たいと思っている人にもその機会が与えられないような状態は非常に残念なことだと言わざるを得ません。
この作品以外にもアカデミー賞の作品賞ノミネート作品ではジェフ・ブリッジスの「最後の追跡」がNetflixの配信専用となっていたりしていますが、せめて作品賞ノミネート作品くらいは劇場で観たい、いや、ぜひ観せて欲しいと思います。
デンゼルワシントン凄い。
サン

サンの感想・評価

3.3
家族のあり方は、それぞれ。
子供に威圧感を与え続けるのはダメだね。
父としての威厳は、違った形で見せるべき。
いつかは、伝わるものだよ。
親子なんだから。
ウチの父親を見ているようで、いい気分がしなかった。
僕はこの人が嫌いです。正直差別とか関係ない次元のクズにしか見えない。
理解が足りないのかもしれないけどさ。
(2018年DVD124本目)
(2018年通算281本目)
人種差別に対しての強い思いから、悪いように取ることで、上手くいかないことが多々あると感じた。実際はひどいものだったんだろうなと想像しつつ、暗い気持ちになる映画だった。
胸が苦しすぎました。
そんなに簡単にフェンスは無くなるもんじゃない。
きのこ

きのこの感想・評価

2.7
変な切なさで暗い気持ちになってしまう…

時代とか抜きにして、人間らしくて否定もできないけどネガティブすぎた。
やっぱり映画はザ・フィクションな明るさがあるストーリーがいいとしみじみ思った
清濁併せ呑め
ヴィオラの演技が力強くて涙釣られる。ニーナシモン役はヴィオラがやればよかったんだよ。デンゼルの情けない男の役柄がどうしてしっくりこない。
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