前から観ようとは思っていたけど辛い映画じゃないかと思ってちょっと踏み出せないでいました。GYAOであと１日で終了となっていて、他に観たい作品がなかったので観ました。大人気のA24も何も観たことない気がしてましたが唯一「アンダー・ザ・シルバーレイク」は観てました。（今年のマイベスト映画の１つ間違いなしです）
どうだろうと若干ビビりつつ観始めましたが映像が素晴らしくすぐに引き込まれました。少年期には主人公シャロンに多分初めて真っ直ぐに接した大人がマハーシャラ・アリ演じるフアンでした。どういう映画なのか知らなかったのでこのフアンが最初は主人公なのかなと思いました。フアンの彼女役でジャネール・モネイが登場した時にはこの映画好きって思いました。ジャネール・モネイは本当に格好いい。ご存知彼女の本業はミュージシャンですが、去年の彼女のフジロックのライブ映像には本当にしびれました。今作では脇役でしたがもっと観たかった〜。だんだんとシャロンが成長していく話で確かに辛い部分はあったけど全体的には辛すぎではなかったかなと思います。アメリカにおける黒人の人は滅多に弱さを表に見せない。自分もアメリカに住んでいながらそれほど多くの黒人の友人がいたわけではないけどほとんどこの映画で見られる繊細さや弱さみたいなものには出会ったことありませんでした。メディアでも中々見たことがないです。スパイク・リー作品においても弱さよりも強さを強調した人物が多く描かれている気がします。少年シャロンは見るからに弱そうだけど大人になったシャロンはその逆で道でばったりあったら逃げたくなるくらい怖い見た目。でも中身は少年の頃と変わらないくらい繊細。そんな弱みを見せるのは本当に心を許せる相手だけど、そんな普通誰も見ることない場面を見れるこの映画は本当に貴重な作品だと思います。アカデミー賞をとったのも納得します。アメリカではBlack Lives Matter運動が起きていますが本来なら当たり前だとは思うけど一部の白人は黒人の外側の部分だけを見て恐怖を感じているのかも知れないと思います。そんな人々全てにこの映画を観てもらいたいとも思うけど同時に同性愛描写もある映画なので人によっては差別が増長してしまいかねない気もします。そうはならないでよりエンパシーが増せば良いのになと思います。賛否両論ある映画ですが僕個人としては絶賛です。
