ゆずきよ

ムーンライトのゆずきよのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.0
一人の人生を追体験する映画。
以前よりずっと観たいと思っていた。

物語の説明が凄く難しいんだけど、特にこれといった大事件は起きないが、主人公の周囲に漂う絶妙に嫌な空気を一緒に追体験する話。
少年期、青年期、成人期の三部構成。
少年期は、彼の現在の状況説明と理解のある大人との出会いが描かれる。
こういう物語の場合、人種差別を表現する事が多いけれど、同じ人種(と書くと少し語弊があるが)や民族間でも優劣によりそういう事って起こるよね。
青年期に入りそれはより厳しくなったり、逆に自己防衛が出来ていたりする。
全てをきちんと説明するのでは無く、言葉のやり取りだけで奥行きを持たせる演出凄いなぁ。
成人期は成長と再会。
彼等はきっとこの先もこの場所で生きていくんだろう。

全体通してスッと物語が入り込んできた。
それこそ潮風の様に。
ただムーンライトの意味とはなんだったのだろうか。
個人的にはもう少し踏み込んだ内容だと思っていたのと、ラストの展開があまり納得いっていません。
クイズ番組で答えはCMの後と言われた後の放送を見逃した様な気持ち悪さがある。
問いをこちらに投げかけるわけでも無く、回答を示してくれているわけでも無いので、結局のところなんだったのだろうという気持ちです。
美味しく食べていたあさりバターの最後の一つで砂を噛んでしまった気分。
もしかするともう少し年齢を重ねたら…っていう映画でもない気がするんだよなぁ。
面白かったし、美しかったり、嫌いじゃ無いんだけど、本棚に並べるかと言われれば悩む一作です。
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