三次元からきたブロンディ

ムーンライトの三次元からきたブロンディのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.4
記録
ブラックムービーだった。背景に白人はちょっと映っていたものの登場人物たちのその殆どが全員黒人。人種差別はあるのかと思いきやそれはなく、3部構成で主人公シャロンの少年期〜青年期までを描いている。主な描き方としてはいじめと家族と同性愛、貧困、薬などが対象となっている。

親の点に関してはヤク中で育児放棄をする母親N・ハリスに対し、その親代わりとなるヤクの売人M・アリに対する存在が主人公シャロンを揺れ動かし、この売人が父親像となる。『ラ・ラ・ランド』とは全く違い、もの静かで色彩表現が卓越した作品だった。

今年のアカデミー賞で作品賞を受賞しただけの評価はある。N・ハリスなんか此間『素晴らしきかな、人生』を観たばかりなのにこんな打って変わって汚れ役を演じていて、ヤクの売人を演じたM・アリが助演男優賞を受賞するのも分かる様な気がする。

この映画でシャロンが鏡のアップが3回ほど映るのだが、その瞳に彼自身の何かを訴えるかける様な眼差しにも見えてしまった。現在のアメリカ社会を物語ってる様な作品でもあり、性行為があるとしてもギャングの抗争などドンパチが全く描かれてないので静かに鑑賞出来る作品だと思います。それとこの映画は劇中に流れる歌も重要な部分になっていた。その一つが「Every N**** Is a Star」はこの映画そのものだと思います。是非ご覧下さい!