ヨウ

ムーンライトのヨウのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.6
マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、思春期、成人期の3つの時代構成で描いていく。



人種差別、麻薬、貧困、ネグレクト、LGBT…
様々な負の問題が絡み合い、物語は重厚で、観ていて胸が苦しくなってしまいますが、それでも鑑賞後には何故か清涼感が残ります。

それはやはり画像の美しさでしょうか。フィルム加工された照らし出される青が印象的です。

特に黒人の茶褐色の肌が、月明かりで青銅色へと照らされる様は思わず溜め息が出ます。まるで物事の本質を浮かびあがらせるように。

物語は普遍的な愛を描いていました。
求めてやまない愛、複雑な自分を受け入れてくれる愛。どんなに身体を強靱に鍛えて、身体を強く着飾ろうとも、心の中には海辺に立ちすくむ月明かりに照らされた少年が宿っている。愛される事を願って。

ムーンライトに照らし出され、浮かびあがるもの。
込められた意味を、余韻に浸りながら考えてみたいと思いました。
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