カツマ

ムーンライトのカツマのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.0
青は孤独。光に照らされて色は変わる。海と砂浜と月の光。それは果てしない孤独な世界の中に射す一筋の光。その光は手のひらの中の砂のように掴めそうで掴めない。

この作品は孤独と純愛の物語だと思う。少年時代、それは親からの愛を求めて彷徨い辿り着いたある人の言葉。青年時代に経験する真っ青な扉を開けて壊れていく世界。そして成人した彼はまだ愛を探し求めて彷徨う。孤独が深いからこそ探し求めていた場所の温もりは光に溢れていたのだと思う。ムーンライトは闇の中に射す光なのだから。

アカデミー賞作品賞受賞作品。映像は孤独を纏うアートとなり、色彩表現が感情を表す描写も作品賞受賞作にしては繊細過ぎると感じました。もっとコアな人向けかと思いましたが、この作品は期せずして時代に求められていたのでしょう。愛を求める人々を照らす月の光が、今の時代にはこんなにも必要とされているのだから。
カツマ

カツマ