このレビューはネタバレを含みます
色彩、音楽が印象的。
第3章ブラック で成長したシャロンが車のダッシュボードに載せてる金の王冠、シャロンの被っているキャップ、銀色のピアスは幼少期父親代わりだったフアンからの影響でそういった細かい小物使いが分かりやすくて好き
シャロンの一途なケヴィンへの思いを台詞では無く、音楽と時間を最大限に使って描く(少し冗長にも感じた)
ここぞというところに放り込まれるケヴィンへの正面のカットが凄く印象的。シャロンの眼差しと一体化し、心もシャロンと同化する。シャロン役を演じた三役の選考基準が「瞳」らしく、眼差しとか瞳とか眼とか、そういった登場人物の視覚というフィルターを通した演出に拘っている作品だと思う。
描かれている内容そのものに関して。作品に出てくる社会的問題?の要素としては黒人差別、LGBT、貧困、ドラッグ、イジメetc...
特に製作陣、スタッフ、キャスト全てが黒人であるという点と主人公シャロンがゲイであるという二点から本作は黒人、セクシャルマイノリティ集団といった社会の末端に追いやられてしまった弱者たちの物語である。
けどその割りには、その社会的構造の中においての「彼・彼女ら」を十分に描けているとは思えず、そういった意味では尖ってない丸い作品だなぁという印象。愛という普遍的なテーマに主題を持っていっている点も丸く感じた。(いや、全然いいんだけど)
率直に言うと、黒人、ゲイだからこその葛藤が作品全編を通して見えてこない。そこの部分に関しては浅い様な気がした。(だからこそアカデミー賞獲れた様な?気もする?)
十分に社会的問題に対して働きかける要素を映画内に持ちながらも、現状の社会的構造を鋭く射抜いている訳では無い。現状の社会的構造を破壊する(しようとする)様な映画では無いと思った。
社会的なカテゴリー(黒人、セクシャルマイノリティ)そのものを主題にはせず、シャロンという1人の青年の個人的な葛藤の物語を綺麗に美しく、丁寧に切り取る。
セルフに焦点を当てるのはいいけど、もっと社会的、政治的側面にも突っ込んで欲しかった。
散文失礼。
そのうちいつかちゃんとまとめたいけどたぶんまとめないでそのままなんでしょう。
文章上手く書ける様になりたいです、うごご