うめ

ムーンライトのうめのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.1
想像もつかないアカデミー作品賞の受賞式でのドタバタもあり、とかく色々と言われてしまっていますね。
社会情勢がとか、審査員好みとか、前年の反動とか…
でも、そんなことは作品の本質とは何の関係もない事で。
個人的には、とても良い作品だと感じました。

一人の黒人男性の成長を3つのパートに分けて描く。
ニックネームのリトルで始まる少年期。
本名であるシャロンの思春期。
そして、人生の転換が訪れた青年期ブラック。

全てを諦め、うつむくだけのシャロン。
ファン、テレサ、ケヴィン…
彼等との触れ合いが救いとなり、心の拠り所になっていく。
しかし、まわり始める運命…

宣伝する方も難しい作品だと思います。
そういう意味では、授賞式での予想外のアクシデントも良かったのかもしれません。
貧困、薬物、LGBTと社会派のテーマが盛り沢山ですが…
単純な感動作という感じではなく、過剰なドラマティックさもありません。
知名度の高いキャストがいる訳でもない。
それでも、じんわりとした余韻を残す素晴らしい作品です。
そう、それこそひっそりと闇夜を照らす月明かりのように…

シャロンが求めた愛。
それは、ただ一人の愛。
欲しいのはたった一つなのに、求めても得られない悲しみ。

観終わった後で分かるポスターの秀逸さ。
三色に別れた色が語る心の動き。
思春期に当たる真ん中の、冷静な青でもなければ熱い赤でもない二つの色が混ざった紫を使う辺りのセンスがすごい。

大分、人によって評価は変わる作品だとは思います。
私は大満足でした(*^o^*)
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