ざっきー

ムーンライトのざっきーのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.5
題名となった「ムーンライト」は、作中語られる「黒人が海辺で月明かりに照らされると青色に見える」というエピソードが由来。
これがなんとも意味深で、もしかしたら人によって見え方が違うって意味なのかな?と。
同じものでも、ある人からすれば汚らわしく見え、またある人からすれば美しく見え、見る環境によってもそれは左右され...
この映画も人によって好き嫌いはあるだろうけど、自分は好き。すごく美しく見えた。
映像も音楽も綺麗で、特に黒人と白アイテムの相性の良さね。
煙草、家の壁、シャツ、シーツ、泡立てたシャンプー etc.
うっとりしながら鑑賞させてもらいました。

ララランドも好きなんだけど、こっちがアカデミー作品賞とれたことは大きいね。
これでたくさんの人にこの映画を見てもらえるきっかけができたんだと思うと、すごくうれしい。
フアン役のマハーシャラ・アリが、わずか24分の出演時間にもかかわらず最優秀助演男優賞を獲得したのには驚きだけど、彼のセリフの「自分の道は自分で決めろ、周りに決めさせるな」が個人的にすごく刺さって、これは主人公のシャロンだけじゃなく、見る人すべてに向けたメッセージのようにも感じられた。

愛や許しや成長といったテーマが根底に流れる中で、あえてあまり多くを語らず、目で語る、目で訴えるところも高評価のポイント。
幼少期・少年期・青年期と3つの時代をそれぞれの役者が演じるわけだけど、そのどれもが素晴らしい演技で、終始シャロンの瞳が印象的でした。

あーラストのシーン素敵だったなぁ。最後のカット本当によかった。あと何日かは余韻に浸りそう。
上映後、ゲイカップルと思しき若い男の子2人組が、一方の手をもう一方の子のコートのポケットに入れて劇場を後にしていて、なんだかほっこり。素敵なひとときを過ごせました。
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