マティーニスコシセッシユ

ムーンライトのマティーニスコシセッシユのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.6
ムーンライト。良いタイトルですね。

イジメ、孤独、庇護者、友情、裏切、母子家庭‥。なければ良いが、どこの社会にも必ずある影の部分。これが黒人社会ということで際立つのかもしれないが、リアリティを持って迫ってくる。

主人公の少年シャロンは無口。だが、庇護者となるファンの優しさは、それを無理にこじ開けないで受容する。この無口さと周囲の人間が投げかける悪意や善意が、より感情を想像させて、登場人物の関係性を心に残す。彼がシャロンに話す昔話が、この映画のタイトルとラストを彩るのだが、それは観てのお楽しみということで。

面白い映画とは思うし、大写しの多い画面や構成も迫力あるが、黒人社会や麻薬、LGBTなど、自分との世界が違いすぎて、さすがに感情移入のハードルが高かった。これでも大分ソフトに作られているのだろうが、文化的、社会的バックボーンが違うので、やはり醒めて観てしまう。そうしたギャップもあり、個人的にはオスカー作品賞は「ラ・ラ・ランド」だったかな。

ファン役のマハーシャラ・アリは、4400に出てたパイロットだった人でしたね。こちらの助演男優賞は納得でした。