アカデミー賞史上初のLGBTQをテーマにしたラブストーリーが作品賞
アカデミー賞史上初の黒人だけのキャスト•監督•脚本家による作品が作品賞
しかもドラマチックで壮大な物語を設定して大上段からメッセージを送るのではなく
数々の変えがたい構造的な社会問題を日常の中に織り込んで淡々とリアルに描いている
深刻になりすぎず極力軽いタッチで
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本作ではセクシュアリティや人種や貧困やいじめなどの問題に触れているが
「自分とは何者か」という自分探しのテーマが何よりも染み染みと伝わってくる
「Little → Chiron → Black」と自身のアイデンティティを自分で確立して受け入れてこそ
不都合な現実から脱出する可能性が手に入り(純)愛と夢は実るんだと
「自分の道は自分で決めろよ。周りに決めさせるな。」とフアンがリトルに教えてくれたように
「うちのルールは愛と自信を持つこと。」とテレサがシャロンを迎えてくれたように
Barry Jenkins監督が原案のTarell Alvin Mccraneyと自分は「シャロン」であると言っていたのもその文脈からであろう
その意味でこの映画は人間の「差違」を超えた「共通点」を謳歌する作品である
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また「拒絶」を超えた「受け入れ」を物語っている作品でもある
偏見と暴力に晒されているシャロンを父親代わりのファンが幼馴染のケヴィンが深く愛していた
その意味でトランプ政権という形で現れたアメリカ社会の二極化の現状において
本作は「共生」に関する大きな示唆を与えられるであろう
P.s.
月光と夜の海があまりにも優しく美しかったし
出演者の黒人たちが淡いブルーに輝く映像美もとても印象深い
原作の戯曲『In moonlight black boys look blue』も機会があれば読んでみたい
170505 @ ヒューマントラストシネマ渋谷 33本/50本
