【ネタバレなし】
一般公開から遅れること、ようやく鑑賞。
ロードショー公開時は自分の生活圏での映画館（シネコン）には来てくれなかったんだけど、アカデミー賞効果？でようやく上映してくれました。感謝！
まず映像が素晴らしい！
途中の適当なところで一時停止しても、写真集の中の一枚のように絵になる感じ。
ずっと観ていたい…と言いたいところだけど…
時系列の中で登場人物たちが駒のように動いてゆく、オーソドックスな説明的ストーリー展開のような、計算すればする程エンタメに特価してゆく作品とは違う、でもしっかりした設定や筋はあるものの、それは敢えて前面に出さず、登場人物たちの繊細な内面や瞬間を中心に観客の目の前に提示された彼らの人生の断片は、詩のようなものかもしれません。
そんな風に作られたこの作品が、大きなアカデミー賞に評価されることで、こういう表現法が映画だけでなく様々なアートに影響を及ぼしてくる、或いはこの作品も既にそういう表現の潮流の中のひとつと思うと、これから他にもどんな作品が出て来るかと思うと楽しみになってきます。
ちなみに、このような登場人物の人生の切り取ったシーンを詩のようにただ感じさせる作り方って、呼び名はあるんでしょうか。
自分の記憶に新しいところではM．ファスペンダーがジョブスを演じた、ダニー・ボイル監督の『スティーブ・ジョブズ』や、TVドラマ『MR.ROBOT』を思い出しました。
自分の場合、両親は日本人として標準的な普通な夫婦だったと思うし、恋愛対象はノーマルだし、生きることに支障をきたす程の特殊な性癖も無いし（笑）…
監督や脚本家のほぼ自身の境遇を元にしたストーリーは、そんな自分とは全く違うのですが、それでも、「君だけじゃないよ」という本当に私的で詩的なメッセージを受け取った感じです。
