月明かりに照らされて
作品賞の誤発表という前代未聞の珍事に見舞われた今年のアカデミー賞だったが、騒動に隠れていまいちパッとしない作品賞に輝いてしまったのたが「ムーンライト」である。
LGBTを扱った作品としては初のアカデミー賞作品賞ということだが、確かに時代の潮流を捉えつつもアカデミーの会員好みの作品だったように思う。
物語は3部構成で、1人のキャラクターを3人の俳優が演じる。
差別と貧困の最下層にいる彼は、ゲイで、スラムの出身で、そして母親は薬物中毒というとんでもない境遇にいる。
このあたりの理不尽な境遇に共感できるか否かが作品にのめりこめるポイントだと思うが、日本人にとってはあまりに特殊な境遇すぎていまいちピンとこなかった。
ただしストーリーと映像が際立って美しい。全体的に青と緑を基調とした映像と中盤の海辺のシーンは本作のハイライトだと思う。