アンタレス

ムーンライトのアンタレスのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.7
リトルと呼ばれ、線が細く内気で無口な少年、シャロン。友達は皆、彼のことを『オカマ』と罵り虐めている。言葉の意味さえ分からず抵抗することもできず、家に帰れば母は麻薬中毒、唯一の友であるケヴィンも虐めっ子に対抗する助っ人にはならない、という有り様では、頼れる者などいないと思われた。
廃墟同然の古いマンションの一室に隠れた彼を見つけたのは、コカインの売人であるフアン。シャロンは自分を保護してくれたフアンと、その恋人のテレサの二人には、心を許し打ち解けていく。

シャロンの少年期、青年期、成人期と3部構成で展開される。
少年期では、頼れる大人と出会い自らの道を示してもらう。
青年期では、セクシャルマイノリティであることを自覚しつつも自らの心に素直に生きようとした。
そして成人期のクライマックスを迎えるのだが、この作品は主人公のシャロンを通して儚く健気な同性愛を描くことで同性愛者嫌悪、ホモフォビアへ鋭くメスを入れている。
ホモフォビアは、政治や宗教に強く影響を与える社会問題である。
『ムーンライト』が高く評価されアカデミー作品賞を、前代未聞のハプニングを経て獲得したことは、様々な人に大きな影響を与え、ホモフォビアを始めとする社会問題に一石を投じることになったのではないだろうか。
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