きぬきぬ

ムーンライトのきぬきぬのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.7
とりあえず記録。まとまらないので。

貧しく、若さゆえに身勝手な母親の子どもである少年が青年へと成長して行く過程での、自身の性的なものも含めたアイデンティティと尊厳、そして厳しい状況におかれる彼の心の救いともなる他者との関係性を描いた普遍さもある。学校をドロップアウトせざる負えなくなり、ヤクザな仕事で生計を立てるようになる黒人青年を取り巻く社会は閉塞的にも思える。
少年時代の辛い日々を救ってくれたファンの父性のお陰と思うのだが(そしてそれが最も美しい場面にも見える)、シャロンは愛を知って成長する。だからシャロンは母親を許せるのだと思う。生活に余裕の出来たシャロンは、ケヴィンへの一途な想いと自身の性的なアイデンティティをも確かめたくなったのではないかと思うのだ。

月の光に照らされる、彼らの浜辺は穏やかで優しい。

ニコラス・ブリテルの音楽が素晴らしく良い。


大好きな作家でもあるジェームズ・ボールドウィンの影響ありきと思うし、アイザック・ジュリアンの「ルッキング・フォー・ラングストン」やアンドリュー・ヘイの「ウィークエンド」、王家衛の影響も垣間見えたけど、でもバリー・ジェイキンスの映画なのだなあ。
きぬきぬ

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