おとなのみほん

ムーンライトのおとなのみほんのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.0
"作品賞は君たちのものだ、ムーンライト!"
あのドラマティックな授賞式にどんな作品かも知らないのに胸を打たれて、公開当日に観に行った一本。

正直な感想はまずアカデミー作品賞らしくない。「アカデミーが好きそうなポイントが全く無いのに作品賞を取ったくらい素敵な映画だったんだ」と言われるとそれはそうなんだけど、そう思わせるほどの魅力は感じられなかったと言うのが正直なところ。
賞を取る為に撮っている映画ではないことは勿論理解しているし、取らずにこれだけの人の目に触れたかと聞かれるとそれは作品賞の看板あってのものだと重々承知の上で言わせて貰うならその看板を背負うことで作品の伸び代が大きく損なわれてしまったなあと非常に残念。
そしてチラシ裏の作品説明文が最悪。
ユネスコ作文じゃないんだから、書き方考えろふざけんな。と思ってしまった。「小さな悪の花」のキャッチフレーズの時に同じく言えるのは与え過ぎる情報は表現の縮小になるんだよと。けっ!

さてさて。
作品全体を通してアメリカ作品にしては登場人物全員が心のままに語る事はとても少なく、相槌でさえ洗練された語りは少しイギリス的。それを時に柔く時に暴力的に溢す役者陣のさざなみのような台詞回しは素晴らしいの一言に尽きる!だけにラスト付近直接的過ぎる音楽の差し入れは勿体無かったと言うのが。あそこは歌詞の無い曲を掛けてどうゆう事?的な違和感のケミストリーが欲しかった!(超)個人的な感覚だけど!それはさて置き!
今作の大きな柱となって居たマハーシャラ・アリはやっぱり良かったですねえ。登場時間はとても短いけど、その存在感が良い意味で強烈だったからこそ、オカマと呼ばれる「シャロン」から「ブラック」への成長がストンと受け入れられたし、それが成立する事で幾度もあの月明かりの海辺で二人が語らうシーンが頭に浮かんでいつの間にか「リトル」の時代を自分の思い出のように振り返って入れ込んでしまってる。
この感覚は"ニューシネマパラダイス"にちょっと似てるかも。
またディスクになったら自宅でもう一度観たいと思います。

作品賞は君たちのものだ、ムーンライト!