ぬ

ムーンライトのぬのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.2
とても自分好みだった…
美しくて、力強くて、静かだけどドキッとするシーンが多い映画だった。
話もだけど、まず映像として美しい。
静かなのに問いかけてくるような雄弁な沈黙が一貫している映画で、観てから生活の中でふと印象的なシーンを思い返してはジワジワくる。

主人公のシャロンは家でも学校でも辛いことが多かったし、正直解決しなかったんだな…って問題もたくさんあるけど(そうそう映画のように人生サクセスしないよなぁ)、ケビンへの気持ちという彼の心の核となって揺るがないものが丁寧に描かれていたのがよかった。
そんなに一人の人に思い焦がれるなんて、辛いことも沢山あるけど、素晴らしいね。

第一部から第二部への成長ぶりはうまいキャスティングだな!と思ったけど、第三部はシャロンの見た目が全然違うくてちょっとビックリした!
それぞれの役者さんがとてもよかったのですぐ気にならなくなったけど。
特に第二部のシャロンの子が印象的だったな。

映画を観たあと、それぞれの章のシャロンの顔をコラージュしたポスターを観ると胸がギュッとなるね。

自分は有色人種ではあるが黒人でもなけりゃ、アメリカにも行ったことないし、家庭環境も主人公とは違うけど、この映画すごくいいな〜と思った。
登場人物に感情移入できるかどうかが重要ではない映画っていうのは確かにあると思う。
逆に自分と違う人間の人生を垣間見て、それでも何か普遍的なものを見出したりとか、もしくは自分がこの世界にいたらと想像してみて、みたいなのが好きな人は楽しめるんじゃないかな。
ぬ