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ムーンライトのkoyaのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.5
この映画はまず、主人公のシャロンが口数が少ない、という設定がよかったです。
おとなしくて、言い返さないから、恰好のいじめの対象になってしまっているシャロン。

そんなシャロンを助けてくれたのが金持ちのファン。
しかしファンは、ヤクの売人の元締めでした。
いじめられていても声をかけてくれる友人、ケヴィン。
母の愛情不足、黒人しかいない学校、いじめ、貧しい暮らし・・・そんな大人しい少年は繊細に成長していきます。

しかし、大人になったシャロンは身体を鍛え、まるで別人のようになり羽振りのいい生活をしています。

少年ー高校生ー大人の3人のシャロンが出てきますが、ファンが幼いシャロンに語るのは、月の光の元で黒人の子供たちは青く見える、ということ。この映画ではいつも夜の海辺がキーとなる場所です。

カメラワークは時に流れるようであり、全編を覆う憂鬱感がとても哀しい映画でした。
とても繊細なことを描くのに、映画の作り手が最新の注意を払っている、という印象を受けました。
黒人しか出ない映画だと今までは、すさんでいるとか、暴力的とか、激しかったりしましたが、この映画はとても哀しい。そして寂しい。

こういう時代になったのだ、と思う映画でした。
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