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ムーンライトのsaboのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.9
観賞日2018/11/10

【以下はネタバレです】
↓↓↓
シャロンは無口でいじめられっ子の少年、あだ名はリトル。
ある日いじめらっ子に追いかけられ逃げこんだ廃屋で、麻薬の売人フアンと出会う。
怯えるシャロンを放っておけず、ご飯を食べさせ、恋人のテレサと暮らす家に連れて帰る。
学校ではいじめられ、家では薬物中毒のシングルマザーにどやされる。居場所がないシャロンはフアンとテレサのところへ会いに来るようになる。
フアンはシャロンを海へ連れて行き、泳ぎを教え、浜辺で自分の生い立ちや自身の少年時代の話を語って聞かせたりした。
そして『自分の道は自分で決めろ、周りの人間に決めさせるな』と教える。
時は流れ、高校生になったシャロン。
だが相変わらずイジメられていた。
そんなシャロンの心の支えは唯一の親友ケヴィンとテレサだった。
フアンは既に他界していたが、テレサとの親交はこれまで通りに続いていた。
母親の薬物依存はますます酷くなり、クスリほしさにシャロンからお金を巻き上げるほどだった。
そして家に客を引っ張り込んでシャロンを追い出す始末だった。
悲しい心のままに一人海辺に彷徨いでたシャロンは、偶然通りかかったケヴィンと浜辺で語らう。
お互いの胸中を語るうちに、シャロンとケヴィンは自然に唇を重ね親密な関係になる。
その後シャロンは謝るが、ケヴィンはその事にはそれ以上触れることなく、非難するわけでもなく、シャロンを車で送ると『また明日』と優しく別れる。
しかし次の日学校でクラスの不良がケヴィンをけしかける。
ケヴィンに殴られ、大怪我をし、深く心傷付いたシャロン。
遂に意を決して首謀者に対して報復をする。
警察沙汰になりパトカーで連行されて行くシャロンと、ケヴィンの目が合う。
これが二人の最後だった。
さらに時は流れ、大人になったシャロン。
昔の痩せこけた面影はなく、筋骨隆々とし、ジョージア州アトランタで麻薬の売人をしていた。
その姿はまるで生前のフアンのようだった。
ある日突然ケヴィンから連絡がくる。
今は地元で料理人をしているので、久々に会いに来て欲しいと言われる。
シャロンの母ポーラはアトランタの薬物更正施設で暮らしていた。
シャロンは母親に久々で会いに行った。
幼少期に愛情をかけてやれなかったことを涙ながらに謝る母親の涙を優しく拭ってやる。
そしてシャロンはそのまま故郷へと向かいケヴィンのダイナーを訪れる。
二人は離れてからのお互いのことを語り合い、ケヴィンの暮らすアパートへ行く。
これまでの哀しい思いを語り、かつてのように優しく、孤独なシャロンの肩を抱くケヴィン。
マイアミビーチから響く穏やかな波の音、そして波の中にかつての少年シャロンが月の明かりを浴び青く輝き物語は幕を閉じる。

【感想】

ムーンライト。
劇中でフアンが語った『少年ブルー』。
月の光のように無垢で、ブルーの象徴のように秘密の悲しみを抱えた少年シャロン。それらの描写がとても美しかったです。
大人になって姿が変わっても、心に秘めた哀しみと透き通るような心の純粋さは変わらなかったんですね。
フアンにも劇中で語られなかった、秘密の哀しみがあったのかもしれませんね。
そして舞台となったリバティシティー。アフリカ系のコミュニティエリアですが、やはり貧困層で起こる負の連鎖は親から子へと脈々と続き、絶ち切ることが難しい深刻な問題ですね。

ストーリー:3.8
ビジュアル:3.9
音 楽:3.8
キ ャ ス ト :4.0
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