えちぜん

ムーンライトのえちぜんのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.3
そもそもは原作者の自伝らしく、ストーリーが分かりにくいところがあるのも、日記とは自省のためのものですからね、他者への解説は必要ないということでしょうし、物語に明確なオチやテーマが感じにくいのも、日記は過程であり結論ではないゆえのものかと。だから万人には受け入れづらいだろうけど(なんで作品賞なんだろw)、個人的には自叙伝ならではのナイーブさというか、優しさと哀しさに包まれた雰囲気がすごくよかった(o^^o)

少年篇と青年篇のそれぞれ主役のふたりはすごくそっくりで、顔だけでなく落ち着かない視線とかキャラまで「よくキャスティングしたな(笑)と」。カメラワークが常に揺れて見上げる角度などが多いなど、幼い時期の精神的な不安定さを表している。一方で大人篇はカメラも安定し、また主人公は金歯にマッスルと一気にキャラが変わる。これは弱い人にこそ多いけど、狼の皮を被った羊ですね。

アメリカ映画らしからぬエンディングで、「もう終わり?」と思いがちだが、いじめられっ子で恋もアブノーマルな男の子の、魂のさすらいをとても切々に描いた秀作と思う。そして結局は、自分で自分を認めてあげられるようになるかどうかなんだよね。青色が美しい★
えちぜん

えちぜん