MrTomatohead

ムーンライトのMrTomatoheadのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.8
鑑賞後、あぁ、感動した。
とはならず、レビューや考察を見ながら徐々に自分が感じたものが溢れてくる、噛めば噛むほど美味しい映画。
それもそのはずで、謎が残るシーンや設定が多く、ラストも視聴者の想像に任せられるオープンエンドな終わり方をしている。
フアンなぜ死んだ?
シャロン売人にどーやってなったの?
ケヴィンもともとゲイ?
などなど
謎が多いところがあるけど、自分らで想像してみるのもまた一興なんじゃないか。
人それぞれが熟考を重ねていくと、人それぞれが感じたこの映画の伝えたかった真意が見えてくる。

扱っているテーマがまぁ重い。
LGBT差別、それによるイジメ、薬物、母親との関係、、、どれもが一口に伝えられるものじゃないしなおかつオール黒人キャストという点でも下手に口を挟みたくなくなる。
主人公シャロンの自分の在り方を周りの圧力によって困惑させてしまう。
ついシャロンのようにうつむきたくなるシーンも多い。

だが、対照的に、背景といい、画面の青がかったエフェクトといい、撮り方といい、単純に綺麗。ここでフアンの以前のあだ名ブルーが効いてくる。終始青いエフェクトがかかっていてほんと綺麗だし、人物が際立って見える。
こんな辛い経験、それによる自分自身を認めることも伝えることもできなかったシャロンが長い年月をかけてうつむくことをやめ、自分という存在を打ち明けることができたのは大きな成長だと思う。
自分を見つめて認めて表現することは大切だしなにより勇気がいるから大変なんだな。

ところで、あの冒頭の数分だけで助演男優賞を取ったマハーシャラアリはすごいなほんと。
MrTomatohead

MrTomatohead