くじら

ムーンライトのくじらのネタバレレビュー・内容・結末

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 アマプラで期限がきていたので鑑賞。差別などの苦しい話なのかなと心の準備をして見ていたら全体的に愛の話だったので優しい気持ちになった。
 三部構成で、ファンとシャロンの出会い、ティーンになったシャロン、大人になったシャロンの話だった。

あらすじ
①麻薬の売人ファンは治安の悪い地区で他の子供たちに追われていたシャロンを保護する。シャロンとその恋人話したがらないシャロンを翌日家に送って行くと、シャロンの母はファンを嫌い、またシャロンをネグレクトしていた。ファンと仲良くなりシャロンは海で泳ぎなどを習う。またファンに子どもの頃の月夜の話をされ、思うままに生きろと諭される。
 シャロンは他の子どもたちにオカマと虐められていたが、ケビンは友達だった。
 シャロンの母はファンの手下から麻薬を買っており、ファンはシャロンの母から私に麻薬を売ってるくせに子供を育てるつもりかと罵られる。
②ティーンになったシャロンはクラスメイトからオカマと呼ばれ虐められていた。ある日耐えられず、ファンは亡くなったものの、変わらず接してくれるテレサの元へ向かう。帰宅すると実母は麻薬依存症のためシャロンから金を奪う始末。
 シャロンはある夜ケビンの元に向かい、お互い麻薬を吸いながら海を前に話す。話しながら感覚が通じ合ったような時、2人はキスをし、それを繰り返し、ケビンはシャロンに手淫をほどこす。ケビンが車でシャロンを家まで送り届ける。
 虐めっ子たちにシャロンを殴るように言われたケビンは躊躇うも殴ってしまう。次の日ケビンは椅子で虐めっ子を授業中に殴り、逮捕されてしまう。連行されるシャロンと、彼を追いかけたケビン。
③大人になったシャロンは地元から離れた地でファンのような麻薬の売人になっていた。そんなある日、ケビンから電話がかかってくる。来てくれたらご馳走すると言われる。母と話した後、シャロンはケビンの働く店を訪れる。シャロンとケビンはポツポツとお互いの近況を話す。ケビンは結婚して息子がいるが離婚したと言う。
 どうして電話したのかと問うシャロンに、ケビンはシャロンに似た客が店に来て、その時ジュークボックスから流れてきた曲(ハロー・ストレンジャー、愛する人との再会を歌う)を流す。ケビンの勤務時間が終わった後、シャロンはケビンの家まで送っていくことに。ケビンの家で、ケビンは今の生活が幸せだと言う。シャロンはあの時から自分に触れたのはケビンだけと言い、月明かりの下2人は寄り添い合う。

感想
 実母から子どもの頃から愛を受け取れない環境だったシャロン。まだ自分の性的嗜好も理解していないうちからオカマと揶揄われていたのは、母にTVを見せてもらえず、また身近な男性は母の身体を通り過ぎて行く男たちだけで、自然と話し方なども母のものに近くなってしまっていたからなのかも。あと性や女性に苦手意識を持っていたのかも。
 そんなシャロンを拾って、生きていくために必要なことを教えてくれる、父親のようなファン。ファンが亡くなった時シャロンはどんな気持ちだったんだろう。
 ケビンが女性とセックスしている話を聞かされ、夜にその様子を夢に見てしまうシャロン。シャロンとケビンの関係は麻薬とお酒、車で送るのとか、月明かりとか繰り返し出てくるのがいい。なんというか見た目が随分変わってしまったシャロンの、俯く癖とかケビン以外と関係を持ってこなかったという発言とか、ケビンにとって自分の知っていたシャロンと共通した部分?、昔のシャロンがそのままいることが分かったことが伝わってくる。
 シャロンにとって月明かりはどういう意味だったんだろう。これからは自分が思うように生きていって、そしてそれを愛して受け入れてくれる人がいて、それがケビンだったらいいなと思った。
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