ムーンライトの作品情報・感想・評価 - 915ページ目

ムーンライト2016年製作の映画)

Moonlight

上映日:2017年03月31日

製作国:

上映時間:111分

ジャンル:

3.6

あらすじ

「ムーンライト」に投稿された感想・評価

Tai

Taiの感想・評価

3.9
多くの言葉は無く、しかし確実に訴えてくる作品。

本編開始早々に感じたことはカメラワークが非常に興味深いということでした。
危険地区でヤクの売人とそのボスの何気無い会話をワンカットで、不安定に2人を中心に回りながら映すというだけで、色々な意味でのその場の危険さを感じます。
カメラの動き、照明、音声の加工に有無の演出と主人公シャロンの感じているものを感覚的に訴えてくるテクニックに舌を巻きっぱなしでした。

伝わるからこそ、シャロンの境遇が辛くて仕方なくなります。
学校ではイジメられ、家でも居場所を感じることができない。
様々な理由が違えど、日本でも十分にありえる話です。
子供から大人にかけてのシャロンの目が印象的ですが、自分を徹底的に否定され自己が崩れてしまった人の目を嫌な程表現できていたと思います。
もう決して純粋なんかじゃない。
一度、他者との距離感がわからなくなってしまったら、例えその後にコミュニケーションを取れるようになっても、もう自然にはできなくなってしまう。
捻れて捻れて千切れてしまいそうな針金のようなシャロンの幸せを願わざるをえません。

イジメも差別も迫害も、根っこは同じ他者の存在を否定するということ。
子供から大人まで万国共通で起きるこの問題をこれでもかと形にした今作は確かに評価が高いのが頷けます。
しかし、もう一歩踏み込んだラストを観てみたかったですね。

予告編で言っている「一途な愛」とか「愛の物語」という言葉が今作に当てはまるのかと考えると首を傾げざるをえませんでした。
Soul mate

辛くて厳しい状況の内容なのに、愛おしくて抱きしめていたい映画です。

ソウルメイトのもとに帰る。もう男も女もないな、ソウルメイトの存在は。愛に溢れている映画です。

一人でじっくり観て、観た人同士で語りあってください!
ゆみな

ゆみなの感想・評価

4.4
静かで、でも確かに伝わってくる映画でした。驚くほどに美しい愛のお話。すごく、すごく好き。

物語はひとりの気弱な男の子シャロンが大人になるまでを三部構成で描いているんだけど、シャロンを演じる俳優さんが3人いるんですよね。ぜんぜん見た目は違うはずなのに、一貫して同一人物だった。内に秘めた本質や感情、俯き加減の彼の瞳…3人ともまさしくシャロンなんですよね。

観終わってすぐよりも、すこし時間が経った後にジワジワ押し寄せてくる静かな波が。そして今もあの青い光の中に自分が入り込んでいるような感覚に陥るんですよね。彼の物語でもあり観ている自分の物語でもある。誰もが感じたことのある疎外感や孤独感…初めての恋に持て余す切なさ…心の底に抱き続けた後悔や懺悔、そういう感情に自分自身もいつの間にか浸透してしまっているんだよね。

【リトル】幼い頃のシャロンは常に逃げ続けていて、助けてくれたフアンとテレサだけが唯一彼の心をこじ開けられた存在だったように思う。フアンがシャロンを家に送った時に母親のポーラが放った言葉に私は酷く落ち込んだ…「いつもはうまく逃げるのよ」ポーラの言葉でシャロンは家にも心休まる居場所がないことが伺えて胸が痛くなった。
ケヴィンは唯一心を許せる彼の友達だったけれども、それでもシャロンはまだ鎧を着けているような気がした。弱い自分は見せないように。
【シャロン】高校生になっても相変わらずいじめられているシャロン。言葉の暴力に押しつぶされそうな日々に麻薬に溺れる母親。それでも、いつでも味方になってくれるテレサの存在は救いだった。同級生に罵られショックを受けたシャロンは、夜の浜辺に向かう。そこに偶然現れたケヴィンに自分の気持ちを吐露するシーンが切なすぎて…「泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ」月の光に照らされて内に秘めた想いと光を放ったのかもしれない。初めてお互いの心の内をさらけ出し触れ合う。しかし、翌日思いもよらない事件が起きて……
【ブラック】大人になりすっかり変わった風貌のシャロン。体を鍛え金歯を装着して、弱い自分を隠すように身も心も鎧を纏うように振る舞っている。ある夜、突然ケヴィンから連絡があり、心の底にしまい込んでいた感情が顔を出し…。母親との和解の後に、ケヴィンの働くダイナーに向かうシャロン。この後の展開で私は胸を締め付けられる。再会し、彼の作った料理を味わう為に鎧を剥ぎ取ったシャロンは、昔のままの気弱な男の子のままだった。探り合いの会話からあの曲がかかる瞬間まで、私は正直もうダメなのかと思っていたし…だからあの曲を聴いて少しだけ安堵し、彼の部屋で真っ直ぐと自分の想いを伝えるシャロンに内なる光を見たんだ…あの夜の浜辺の光を。


実は観るまで半信半疑で…ほぼ知らない黒人の俳優さんだけのキャストで、万人受けしないようなテーマの映画が何故アカデミー作品賞を獲ったのか。自分の中ではラ・ラ・ランドは素晴らしかったし、白すぎるオスカーってことへの抵抗なのかも…って、少し考えたりもしたけれど。

ひとりの人間の奇跡みたいな恋の話…これは誰にでも起こりえることであり、だからこそ自分を愛し信じることが大切なのだと教えてもらった気がする。


しかし大人ケヴィン役のアンドレ・ホーランドの色気がダダ漏れ過ぎてヤバかった。タバコ吸ったり…料理したり…見つめ合ったりするシーン、彼のフェロモン物凄い。
ちょっとこれから注目していきたい俳優さんになりました。
いわずと知れた、アカデミー賞最大の栄誉である、作品賞に輝いた作品。ある意味、誤発表された「ラ・ラ・ランド」とは対極に位置する作品かもしれない。「ラ・ラ・ランド」が昼中の太陽の光なら、こちらはタイトル通り夜の月明かりの光。あちらが心の葛藤を外に向かって解き放していく展開なら、こちらは内に向かって集積していくアイデンティティ追求の作品。春、夏、秋、冬、春の5部構成に対しては、子供、少年、大人の3章から成る。

さて、これら3章にはそれぞれ「リトル」、「シャロン」、「ブラック」というタイトルが付けられ、いずれも主人公の呼び名として使用されている。注目したのは、「リトル」から「シャロン」に移るとき、映像は先に「シャロン」の時代にスイッチされ、少ししてから「シャロン」というタイトルが出る。これはあえて淵と淵を合わせたかのような静かな展開を意図しているように思えた。「シャロン」から「ブラック」へ移るときとはやや対照的だ。

先に書いたように、「リトル」では主人公の子供時代が、「シャロン」では少年時代、そして「ブラック」では成人した大人の時代が描かれる。いずれにも登場するのが、ケヴィンという主人公の「友人」。このおよそ20年近くにわたるケヴィンとの交流が、この3章で構成される物語を貫く主筋だ。そして、その周辺に主人公を取り巻く家庭環境やら、いじめ、セクシャリティの問題が散りばめられている。

この作品で特徴的なのは、注意深くドラマチックなシーンは避けられているという点だ。例えば、「リトル」の章で、主人公に「自分の道は、自分で決めろ。周りに決めさせるな」と諭すフアン、ドラッグのディーラーでありながら主人公を暖かく見守り後見人のように振舞う彼が、「シャロン」の章ではすでにこの世にはいない。しかし、彼の死んだシーンはおろか、主人公の口からもそれは強く語られることはない。たぶん通常のドラマであるなら、フアンの死は盛り上がるシーンとして描かれるのだろうが、監督のバリー・ジェンキンスはそれらをほとんど劇的に描くことはない。そして、この静かな作劇は月明かりの光のように全編に浸透している。

少年時代にシャロンとケヴィンが海辺の月明かりの下で初めて深い交流を持つシーンも、描写は穏やかで、ことが終わって浜辺の砂で手を拭く、その手だけを映して次のシーンに移っていく。わずかにシャロンが怒りをあらわにするシーンでも、描写は深追いすることなく、すぐに日常へと戻っていく。ドラマチックな展開がないぶん、主人公の内部へと、深く観る者を誘い込んでいく。とにかく青い月の光のようにじわじわと心に沁みこんでくる作品だ。

月の光のもとでは黒い肌は青白く光る、こんなセリフが作中には出てくるが、色彩設計も見事だ。とくに主人公のシャロンが月の光の下で海をバックに佇むシーン。作品では象徴的な使われ方をしているが、このシーンの青い光は息を呑むほど美しい。そして、その主人公の姿からは、つげ義春の「ねじ式」の少年を想像してしまった。

この作品でアカデミー賞の助演男優賞に輝いたドラッグ・ディーラーのフアン役のマハーシャラ・アリ。テレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」でレミー・ダントン役で出演していたが、この作品では出番が少ないのに、強烈な印象を残しており、助演男優賞もうなずける。

アカデミー作品賞を受賞したため、日本での公開も1か月早くなったが、そのかわり同じ配給会社のデレク・シアンフランス監督の「光をくれた人」のスタートが伸びたのは残念だ。

たとえ作品賞を取らなかったとしても自分はこの作品は観たかもしれないが、これほど大きなシネコンの立派なスクリーンで観られたのはちょっと嬉しい。
ま

まの感想・評価

3.2
流されてるような生き方に見えても本人は選んできたつもりだし、本人は自分で選んだ道だと信じていても周りには流されてるように見えたり…。観た後に、人生ってそんなもんだよな〜という共感はあれども、あまり感想が出てこない。まだまだ私の人生経験不足です。
おなる

おなるの感想・評価

4.5
little,chiron,blackの三部構成
冒頭のシャロンとフアンの絡みから胸がつまった
ミズキ

ミズキの感想・評価

4.6
ララランドとはほとんど正反対で、テンションは割と一定で、終始淡々としていた。

ですが!
映像がとてもしれいだし、映像で主人公たちの感情を映し出していたと思います。
音楽や俳優たちの演技、そして撮影方法も魅力的で、飽きることなく見終わりました!まさに魔法。世界観に飲み込まれ、いつの間にか終わっていました。

ララランドに勝っただけあり
とても面白かったです。
matuya

matuyaの感想・評価

-
感情移入が複雑でした。どちらかというと、シャロンよりもケヴィンに感情移入できたかも。
mumi

mumiの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます


▼2017.4.1
後にも先にもあの頃リトルの心に触れたのはケヴィンだけ。
反転する子供時代とやっと手に入れた愛の話。
最後のシャロンの、あの頃から自分に触れたのはケヴィン唯一人っていう独白が刺さった。
リトルの眼差しが印象的。躍動感あふれる独特なカメラワークだった。
初めて心に触れたあの美しい月の夜が繰り返される。
ラストシーンが美しすぎて泣ける。薬物 人種差別 同性愛差別 いろんな問題を美化はせずにそれでもあんなに美しく描いたのはすごい。
青 ピンク 青 ポスターの色彩もいい。全体的な色彩が暗すぎずいい感じだった。なんか全体的に物悲しい映画だった。
幸せも予想できるエンドなのに、悲しい


▼2017.4.18
ムーンライト、ハッとするような瞬間の激情が無いからかわからないけど
いつの間にか夏の夜の海みたいに静かな凪いだ感情に浸ってる。
1回目より2回目。

考察とかいろんな感想を見て挑んだ2回目は壊れることがわかってる幸せに泣けた。

熱を持ったシーンが少ないと思った。
昼間もそんなに鋭い光じゃなくって 柔らかいような光だった気がするし、汗もかかない
熱を帯びるはずのあの海辺の夜も夜の砂浜のひんやりした温度で相殺されてた
全体的に青白くて心地よいひんやりとした温度なイメージ。
海辺の砂も最初は冷たくてすぐ体温が移る
体温のグラデーション


▼2017.12.3
2人が再開するあのレストランが本当に世界で2人だけみたいな そんな雰囲気がある
夜で 車通りも客も少なくて 2人だけのテーブル
切ないとはちょっとちがうんだけど。
激情的な描写があんまりなくて 愛の深さだけをただただ感じる
2人だけのベッド 海の底みたいに静かで、2人だけで充足してて 世界の全てを手に入れたみたいなふたりだけの孤独
友達から恋愛関係への移行が本当に胸が締め付けられるような多幸感
つねに何かを悲しんでるみたいな眼差しが 見てて痛々しい
風呂=母胎を連想させるものっていう考察 すばらし…
なんか 差別問題を含んだものって少なからずメッセージ性をはらんでいると思うのだけど これは全然そんなことなくて近現代の社会的価値観の在り方とかそういったものを問いかけるものでも押し付けるものでも全然なくて
孤独や疎外を感じたことのある人間のための映画だなっておもった
たどたどしく自分やケヴィンや母親を愛するシャロンが愛おしい


▼2018/12/26

なんだかんだ言っても、初見でとてつもなくわたしの琴線に触れただけです。
言語化しようとしても、感性で惹かれるものを説明できるわけないんだよね

▼2019/02/10
極限まで映像美を追求した画面。
辛い現実があっても美しいものは存在するし、とても価値があるということを映像でさえ有り余るほど表している

https://www.cinematoday.jp/news/N0090267
愛すべき人のことを思い起こす夜は誰にだってある。そんな当たり前のことに気づかせてくれる。「孤独の夜」を知っている殆どの人たちに響く映画だと思いました。人種問題や同性愛、薬物とかいろんなエッセンスが注入されてはいるけど。「ムーンライト」で照らされたかけがえのない夜が確かにあってそして今ここで寄りそえている事実が何よりも尊いんだ。そう静かに語りかけてきた気がしました。ラストシーンがとてもとても美しい。