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ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章のpikaのレビュー・感想・評価

2.5
欲って怖いな〜。莫大なお金のかかる映画作りで費用以上に稼ごうってんだからターゲットを広範囲に定めるのはわかるけど元々の原作自体がジャンプ漫画の割には大衆向けではない作品なわけで、それを好んでいるファンと俳優ファンと映画ファンの求める部分は重ならないんじゃないかと、それが他の作品以上に顕著に出て結果(大失敗)に反映された最たる例。

漫画を実写化するときに漫画という魅力を如何にして映画という形で昇華するのかがメインの肝だと思うんだけど、その点では成功していると思う。
世の中に絶対はないと言ってもこればかりは原作ファンを唸らせるのは100%不可能であろう作品の実写化に於いて、映画単体としてどれだけ魅力的なものに仕上げられるかという点で、配役や役者の演技、ドラマ展開や着眼点などの揃えた材料自体はかなり魅力的なものになってる。
ただそれらを一つの映画という形にするべくのカメラワークや演出、編集なんかの部分が壊滅的につまらない。
見事な原作改変を踏まえながらも台詞や展開は忠実だったり脚本の時点では成功できそうな印象はあるのに、その原作に添わせた台詞の量という点で、漫画を映画にする必要如何が見えてくるというか、バトルの最中だったり日常でベラベラ説明台詞を話すのは原作通りだけどそれを魅力にするのが実写化なわけで、違和感にしちゃならんと思う。その点大失敗してて、ジョジョの独特な世界観や台詞回しなんかは作品の魅力なのでそのまま活かしたいと思うのは凄く良くわかるけど、漫画に近づけすぎたところで実写化の意味を薄めちゃ意味がない。
その違和感を魅力へと変えるのが演出力の見せ所だと思うんだけど、教科書通り場面を撮影しました!みたいな平坦なカメラワークに、邦画のドラマ映画的な悪い癖の出ているモタモタとした編集テンポなど、映画は集中して見るものなのにお茶の間で見るため作られたような、わかりやすく説明的な演出に辟易。ダラッダラとしていてクソダルい。途中で何度止めようと思ったか!
ドヤることこそが見せ所なのに全然キマってなくて中途半端だし勿体無い!!
スタンドバトルは非常に良かったので本当に勿体無い。

ファンの思い入れと映画ファンの純粋な姿勢に反して作り手のこなれ感と言うのか、情熱のなさみたいなものが透けて見えた。
企画され用意されたものを最終的に調理するポジションの人達の姿勢って重要だ。とりあえずまとまってればいいっつーのが全方位の鑑賞者の腸に火を付けた感じがした。

仗助を筆頭に由花子や神木くん、真剣佑や岡田将生などの役者の演技は最高だった。
仗助役の評判悪いけど個人的にはドアップに耐えた顔力や台詞回しなど良くやったな!と拍手レベルだし、虹村兄弟なんかはもっと見たいと思わされたレベル。
ジョジョ全部読んでて一番好きなキャラが承太郎様なんだけど、現代の日本で承太郎様を実写化せねばならぬなら他に考えられない見事な配役だと思う。確かに年齢は感じたけど伊勢谷友介が10歳若かったらもっと文句は出なかったんじゃないかしら。だってCASSHERNで蒼紫様ですよ?笑
役者陣はあの独特な髪型から衣装まで完全にワロタ!なコスプレしながらも違和感なくキャラクターという存在になりきってて、あのまんまな台詞も見事に不自然なくキメててホント頑張ったなぁと心の底から感動した。近年の邦画レベルが高いってホントですなぁ。全然見てないけど。役者陣が良いから一定以上のモノは作れるんですなぁ。
三池崇史以外の監督による漫画実写映画を見たくなった。けど最近の実写化映画の漫画原作は読んでないものばかりなので悩みどころ。
アニメや漫画大国ジャパンから漫画実写映画っつーアメコミに負けないコンテンツを作れそうな基盤はありそうなのに。監督らの腕か制作会社の姿勢かお金の問題か。
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