TAK44マグナム

蠱毒 ミートボールマシンのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

蠱毒 ミートボールマシン(2017年製作の映画)
3.7
とんでもないものしか出てこない!


「血を吸う粘土」との二本立て上映にて鑑賞。
日本のキング・オブ・スプラッターである西村喜廣監督作。

主演が田中要次!
滞納金の取り立てマンの役なのですが、金がないと言い張る滞納者に困って「ないないばかりじゃなくて、たまにはあるよって言えよ」とわかる人にはわかる愚痴を言ったり、キャバクラ行ってブルース・ウィリスに似てると煽てられれば「最近はジェイソン・ステイサムって言われるんだよ〜」などと返してみる、主役なのに金は無いわ愛も無い50歳という可哀想な人生どん底キャラ。
でも、スカイツリー周辺が宇宙からやってきた巨大なビーカーに覆われてから(←この設定からして狂ってます)、まるで変身ヒーローのような活躍をする羽目になるのです!
人生とは摩訶不思議!

まぁ、それにしてもです。
これは、頭がどうかしてる事しか起きない、目に余るほど出鱈目で破茶滅茶で破天荒な映画ですよ!
西村監督がやりたい事をすべてごった煮に詰め込んだ、まるで闇鍋のような、濃すぎて腹を壊しても仕方ない、そんな映画なのです!
西村監督が具材をぶち込んだ闇鍋を田中要次や鳥居みゆき、そしていつもの斎藤工、果ては樋口真嗣監督やら高橋ヨシキさんやらで囲んでいるようなもの!
最近の事件な邦画には、いつも西村映造が絡んでいるような気がしますが、明らかにやり過ぎな突き抜けるドライヴ感は、これこそがロックンロールッ!
子供みたいにヤンチャなグルーヴが、ところ構わずヴァイオレンスの嵐を巻きおこして大変です!

とにかく血です!
尋常じゃない量の血がプシャープシャーいいますよ!
いたいけな女子だろうが、性根の曲がった子供だろうが、進撃のチンコだろうが平気で八つ裂きにしてしまうのDEATH!

オッパイ丸出しのヒロインがブラジャーを手綱に目指す先は聖なる教会!
「生まれてくる子供の髪が赤かったらどうする〜?」などと青姦をキメる高橋ヨシキさんが!
立ち小便している樋口監督が!
次の瞬間には大変なことになっているなんて!
ジャッキーのそっくりさんの武器が丸椅子で、必殺技が酔拳!?
わ〜〜、もうビックリマークとハテナマークしか頭に浮かびません!!
この世で考えうる限りの狂った光景がハイテンションでスクリーンに爆発するものだからもうタマラン!

その割に、前半は田中要次演じる野田のどうしようもなくどんづまりな日常を必要以上に丹念に描き、一体これは何の映画なんだろうか・・・と、こちらを不安にさせるのだから、これはこれでたまりません。

この世は所詮、弱肉強食。
ネガティブになってても仕方ないぜ!という監督からのメッセージなのかどうかよく分かりませんでしたが、このカオスに輪をかけた超カオスな世界観は、ちょっとやそっとでは理解できないのではないでしょうか?
ただひたすらに笑いを押し殺してヒーヒー言いながら観ていましたが、もっとワイワイ言いながら「そんなアホな!」とツッコミをいれられる環境で観たい一作。

どうしてもチープな部分も目立ちますけれど、斎藤工が「リアル鬼ごっこ」を遥かに超えるバカな役を楽しそうに演じているので、いくらグチャグチャ血みどろだからって途中で降りたら損ですよ。
最後までキチンと観て、すごいバカだったけど楽しなかったなぁ〜と謎の満腹感に浸りましょう!

あ、そうそう、お話の中身ですが、なんか知りませんが人間がネクロボーグというデロンデロンな怪人に改造されちゃって、何故か意識が乗っ取られずに怪人化した主人公が恋する女子を守ろうと奮闘しますよ!
だいたい、そんな風だったと思いますんでヨロシク!

・・・と、そんな感じで色々とテリブルでショッキングでしたけれど、このイカした二本立てを一緒の回に観ていた可愛い女子二人組が帰り際に、「人がぶった切れて面白かったね〜♡」とキャッキャ言ってるのを目撃したのがなによりも衝撃的でしたな・・・(汗)
ううむ、日本は本当に大丈夫なのでしょうかね〜?!