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プラハからの手紙のyayuyoのレビュー・感想・評価

プラハからの手紙(2016年製作の映画)
4.0
初インドネシア映画です!
インドネシアでは、1960年代にスカルノ大統領がクーデターによって失脚し、スハルト政権が樹立。
共産党員が支持していたスカルノ政権下で共産圏のプラハへ留学していた学生達も、スカルノ失脚により国籍を失い帰国ができなくなります。
この映画はそうした国民の悲しい歴史を軸にストーリーが展開するのです。

ストーリー
母親の遺書には相続を認める条件として、母が保管していた手紙をプラハに住む男性に届ける事と記されていた。娘は訳の分からぬまま、プラハの男の元へ飛ぶ。その男とは…。60年代のインドネシアの政治的大混乱、その事により翻弄された人々の苦悩を、美しいプラハの街並みの中で描いていく。

政治の混乱により、留学生たちが帰国できないまま現在に至っているという事実。
主人公のララサティも驚いていましたが、どうやらつい最近まで規制により正しい歴史が語られる事はなかったそう。
留学生たちは共産党支持者ではなく、あくまで祖国との平和的な解決を望んでいたそうです。
そんな実際の留学生たちが劇中にも登場し思いの丈を吐露するシーンは心に響くものがあります。

ララサティの中に、亡くなったかつての恋人、ララサティの母の面影を見るプラハの男ジャヤスリ。
埋もれた歴史の事実を描きながら、ララサティとジャヤスリの心の交流も描いています。
ララサティもジャヤスリも音楽が得意で、劇中でのピアノ演奏や歌など音楽が効果的に使われ、耳に心地よい響き。

かなり難しい題材を扱った作品だったようで、鑑賞から日は経ってしまったけれど、この作品に触れる事ができ改めて良かったと思う。
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