き

女神の見えざる手のきのネタバレレビュー・内容・結末

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

何から話していいのか困るほど面白かった。

勝率ほぼ100パーの超有能ロビイスト(政治家の支持率のためあれこれと画策する人)、エリザベス・スローンが本作の主人公。絵に描いたようなバリキャリウーマンで、勝利のためなら手段は選ばないわよ!私に楯突く人間は覚悟しなさい!って感じの綺麗な働くおねいさん。
まさに言葉の通り仕事に命をかけてる女性で、眠る時間も惜しくて薬物に頼って働き続けたり不眠の生活が続いても誰にも弱みを見せない強い女性。

ある日彼女に「銃規制したくないんだけど、昨今の世の中の女たちは銃規制しろってうるさいじゃん?そういう人らの支持が欲しいからなんとか銃へのイメージ操作して助けてくれ」的な依頼が。
エリザベスはそれを断り上司に怒られ、しかもそれを聞きつけた銃規制派の会社のえらいひとからスカウトされてよ〜しこんなクソ会社辞めたるで〜!私についてくるやつは?!5人?!OK!レツゴー!と、銃規制賛成派を増やすためアレコレする…という話。

銃による悲劇が多い舞台がアメリカだからこそのテーマは勿論興味深くて色々考えさせられるし、何よりバリバリ仕事をこなし、セックスすらも義務というか仕事のようにビジネスライクにこなすエリザベスは正直かっこよすぎる。どこか哀しい女性だと思うけども、それでも痺れた。

しかし本作の本当の魅力は別のところにあると思う。
それはエリザベスが言っていた「自分の意思」についてと、「キャリアを捨てる方が命を捨てるよりマシ」。
多くの政治家やお偉いさんが自分の保身の為にまともに意思すら持たず君臨している世の中は彼女が言う通り「腐っている」。
自分が被害者にならないと動かないのもそう。
自分の意思を持たないことがいかにダサいのか、カッコ悪いのか、そんな人生に意味があるのか?と訴えかけてくる本作からは、一瞬たりとも目が離せない。

本作には映画館によってはリピーター割引があったので、観る前には小難しすぎて置いていかれたらどうしよう、という不安が少なからずあった。
だけども実際見てみると、確かにテンポは早いけれども中身はややこしくなく意外とやさしい。
それでも気持ちのいいどんでん返しがあり、エキサイティングなストーリーに、体にしびれるような快感が走った。

今シーズンにぜひ見てほしい一本、がまた増えてしまった。
素晴らしかったです。
き